認知症は治療できる?治療法から家族のケアまで

このページでは認知症の治療について説明しています。中心となる薬物療法と非薬物療法のほか、重要な役割を果たすのが家族のケアです。具体的にどのような治療が行われているのか、その3つについて説明します。


この記事の目次
  1. 治療で進行を抑制
  2. 薬物療法
  3. 原因疾患に対する治療
  4. 認知症によるさまざまな症状に対する治療
  5. 非薬物療法
  6. 家族の適切な対応

治療で進行を抑制

認知症の治療は、薬物療法と、リハビリテーションなどの非薬物療法が主体です。

いくつかの稀な場合※を除き、認知症を完全に治す治療法はまだありません。しかし、病状の進行を遅らせることはできるのです。そのため治療は、残された機能を維持しながら、不安、妄想、不眠など、日常生活の支障となる症状を軽減・改善することが目的となります。

症状を抑え、進行を遅らせることで、本人が穏やかに生活できるとともに、介護者の負担軽減にもつながります。

※脳腫瘍・慢性硬膜下血腫・正常圧水頭症・脳血管障害等の外科的治療の対象となる疾患。他にも脳症や、薬の副作用によるせん妄状態など治療可能な状態もあります。

「治療で改善できる認知症・iNPH」張 家正先生インタビュー

薬物療法

認知症治療で中心的な役割を果たすのが薬物療法です。認知症の進行を抑えたり、脳の機能低下を遅らせる効果が期待できます。

薬物療法は、大きく分けて以下ふたつとなります。

①認知症の原因疾患に対する治療
②認知症によるさまざまな症状に対する治療

原因疾患に対する治療

認知症の中核症状に対しては、抗認知症薬による治療を行います。

現在日本で使用されている認知症の薬は4種あり、大きくふたつに分類されます。 神経伝達物質の減少を抑え、スムーズな情報伝達を助ける「アセチルコリンエステラーゼ阻害薬」と、カルシウムイオンが脳神経細胞に過剰に流入するのを防ぎ、情報伝達を整える「NMDA受容体拮抗薬」です。

アリセプト(ドネペジル塩酸塩)、レミニール(ガランタミン臭化水素塩酸)、リバスタッチパッチ/イクセロンパッチ(バスチグミン)は「アセチルコリンエステラーゼ阻害薬」に分類されます。

「NMDA受容体拮抗薬」のメマリー(メマンチン塩酸塩)は、上記の3剤とは異なる働きを持ち、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬と併用して治療を行うこともあります。

この4種は主にアルツハイマー型認知症に処方されますが、アリセプトに代表されるドネペジル塩酸塩については、レビー小体型認知症の治療にも使用されています。

認知症薬アリセプト(ドネペジル)の詳細はこちら 認知症薬メマリー(メマンチン)の詳細はこちら レミニール(ガランタミン)の詳細はこちら リバスタッチパッチ・イクセロンパッチの詳細はこちら

認知症によるさまざまな症状に対する治療

行動・心理症状(BPSD)を改善するために、薬による治療を行います。

抗精神病薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、睡眠薬などの向精神薬のほか、漢方製剤が使われることもあります。

不安や幻覚・妄想、せん妄、徘徊については、抗精神病薬や、双極性障害治療薬。興奮には抗精神病薬のほか、抑肝酸という漢方製剤が処方されることがあります。また、うつ状態や性的逸脱行為などにはSSRI、SNRIなどの抗うつ薬、睡眠障害には睡眠薬などが使用されます。

いずれも副作用の症状に気をつけながら、医師・薬剤師のアドバイスに従って正しく服用することが大切です。

非薬物療法

非薬物的療法とは、薬物を用いない治療的なアプローチのこと。脳を活性化し、できるだけ長く残存機能を維持したり、生活能力を高める目的で行います。本人の症状や気持ちに合わせて、無理のない範囲で行います。

非薬物療法はさまざまあり、以下のようなものが挙げられます。

・運動や作業を通して「本人らしい生活」が送れるよう支援する理学療法・作業療法などのリハビリテーション
・簡単な計算や音読、字を書き写すなどを行う認知リハビリテーション
・見当識への刺激を与えることで、認知機能の低下を防ぐリアリティ・オリエンテーション
・過去の思い出を語ることで、記憶を刺激して感情の安定を図る回想法
・脳に刺激を与えたり、自発性の改善を図る音楽療法芸術療法、園芸療法など
・動物とのふれあいを通じて感情の安定をめざすアニマルセラピー

認知症と脳にはどんな関係があるの? 認知症のリハビリ療法とは? 認知症予防トレーニング 認トレ教室

家族の適切な対応

治療と並ぶほど重要な役割を果たしているのが、毎日の生活における家族の対応です。 適切なケアによって、周辺症状などが回避できる場合もあります。

認知症の家族と日々過ごしていると、思うようにいかず、つい声を荒げてしまうこともあるでしょう。しかし、「つい」とってしまった行動によって、本人の気持ちも不安定になり、症状が悪化したり新たな症状を引き起こすこともあるのです。そうならないためにも、家族の心のゆとりが大切です。

重要なのは、完璧な介護よりも穏やかな人間関係。家族の方が、まず認知症という病気をしっかりと理解し、本人との信頼関係を築くこと第一に考えましょう。

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