リバスタッチパッチ・イクセロンパッチとは

この記事の監修
高橋秀行先生
鶴川サナトリウム病院 精神科・もの忘れ外来
高橋秀行先生
この記事の目次
  1. リバスタッチパッチ/イクセロンパッチ(リバスチグミン)とは
  2. リバスタッチパッチ/イクセロンパッチの剤形
  3. リバスタッチパッチ/イクセロンパッチの用法、用量
  4. リバスタッチパッチ/イクセロンパッチの効果・作用機序
  5. 認知症に対してどのように効くか
  6. リバスタッチパッチ/イクセロンパッチの特徴・メリット
  7. リバスタッチパッチ/イクセロンパッチの薬価
  8. 用量ごとの薬価について
  9. 1か月あたりの具体的な薬価例
  10. リバスタッチパッチ/イクセロンパッチの注意点・禁忌・副作用について
  11. 使用の際の注意点
  12. パッチを貼ったままでも入浴できる?
  13. パッチを貼り忘れてしまったら
  14. リバスタッチパッチ/イクセロンパッチの副作用

リバスタッチパッチ/イクセロンパッチ(リバスチグミン)とは

リバスタッチ(R)パッチ/イクセロン(R)パッチ(リバスチグミン)は貼り薬のタイプの認知症の薬です。軽度および中等度のアルツハイマー型認知症に適応があります。

リバスチグミンはアルツハイマー型認知症の症状の進行を抑制する薬であり、日本では小野薬品工業株式会社から「リバスタッチ(R)パッチ」 、ノバルティスファーマ株式会社からは「イクセロン(R)パッチ」の製品名で販売されています。両者の有効成分は同一であるため、この項では両者をまとめて説明します。


リバスタッチパッチ/イクセロンパッチの剤形

1日1回貼るタイプの薬であり、4.5mg、9mg、13.5mg、18mgの4種類があります。有効成分の量が増えるほど、パッチの面積も大きくなります。

リバスタッチパッチ/イクセロンパッチの用法、用量

11日1回4.5mgから開始し、4週間ごとに大きいサイズに変更し、18mgで治療を継続します(パッチのサイズが変わっても1日1枚であることは変わりません)。少量から開始し徐々に増量していくのは、パッチを使用することによって生じる神経伝達物質の変化に体を慣らし副作用を軽減するためです。

2015年8月より9mgから開始し4週間後に18mgにするという増量方法が認められました。これは後者の増量方法でも副作用の出現率などに違いがないことが認められたためです。

速やかに有効用量まで増量できるようになったことでより早期からアルツハイマー型認知症の症状の進行抑制への効果が期待されます。

リバスタッチパッチ/イクセロンパッチの効果・作用機序

認知症に対してどのように効くか

私たちの脳は神経伝達物質を介して記憶・学習を行なっているのですが、アルツハイマー型認知症では神経伝達物質の1つであるアセチルコリンが脳内において減少していることが知られています。

神経細胞から放出されたアセチルコリンが受容体に結合することで、情報の通り道が開き情報伝達が行われます。役目を終えたアセチルコリンは酵素により分解され神経伝達が終了します。

脳内のアセチルコリンを分解する酵素にはアセチルコリンエステラーゼ(AchE)とブチルコリンエステラーゼ(BchE)の2種類があります。リバスチグミンはアセチルコリンエステラーゼ(AchE)を阻害する作用だけでなく、ブチルコリンエステラーゼ(BchE)も阻害するという特徴があります。

作用する部位が違うので他のアセチルコリンエステラーゼ(AchE)阻害薬で効果が見られない場合や副作用が強く使用できない場合に切り替えて使用されることがあります。ただし、ブチルコリンエステラーゼ(BchE)の脳内での役割や認知症との関連性についてはまだよく分かっていません。

リバスタッチパッチ/イクセロンパッチの特徴・メリット

リバスタッチ(R)パッチ/イクセロン(R)パッチの最大の特徴は、認知症の薬の中で唯一の貼るタイプの薬だという点です。

貼付剤であるメリットは、薬の成分が皮膚から持続的にゆっくり吸収されるため血液中のリバスチグミンの濃度の変動が少なくなることです。リバスチグミンも開発された当初は他の認知症の薬と同様に内服薬として製剤化されたのですが、吐き気などの消化器系の副作用のため日本では導入されていません。

これは内服直後にリバスチグミンの血中濃度が急上昇することに由来すると考えられたため、貼り薬として皮膚から持続的に吸収されるように開発が進められたという経緯があります。

また、誤って過剰に使用してしまった場合や副作用が出現した場合には、内服薬と違いパッチを剥がすことでそれ以上の薬の吸収を阻止できるというメリットもあります。

他にも、薬を毎日欠かさず使用できているか不安がある場合、内服薬では飲んだか飲んでいないかわからなくなってしまう可能性がありますが、貼り薬なら使用状況が客観的に確認できるというメリットがあります。内服が苦手で時間がかかってしまう方にも便利です。


リバスタッチパッチ/イクセロンパッチの薬価

用量ごとの薬価について

※1割負担を想定・小数点第2位を四捨五入しています

4.5mg…34.7円
9mg …39.1円
13.5mg …41.9円
18mg …44.0円

1か月あたりの具体的な薬価例

アルツハイマー型認知症と診断された場合、1日4.5mgから開始されます。そこから段階的に18mgまで増量されます。18mgを継続的に処方されている方の場合……

44.0円 × 30日 = 1320円/月 となります。
※それ以外に薬局の調剤料や病院の診察料(初診料・再診料、検査料など)が必要です。


リバスタッチパッチ/イクセロンパッチの注意点・禁忌・副作用について

使用の際の注意点

・パッチは1日1枚です。1度に2枚以上貼ることがないように、古いものを剥がしてから新しいものを貼るようにしてください。
・剥がすときはやさしく剥がし、剥がした部位を濡れタオルなどで拭き取ってください。
・使用後のパッチは粘着面を内側にして折り畳み、確実に破棄してください。
・使用後のパッチにも薬の成分が残っているため、子供や認知症の方などが間違って体に貼ってしまうことがないように注意してください。

パッチを貼ったままでも入浴できる?

1日1回、ほぼ同じ時間であれば貼るタイミングはいつでも良く、食事の時間に関係なく貼ることができます。貼ったまま入浴することもできますが剥がれることがあるので、入浴のタイミングで貼り替える方が多いです。

傷や発赤などの皮膚トラブルがない場所を選び、水分やクリームなどが付着していない状態で貼ってください。

パッチを貼り忘れてしまったら

パッチを貼り忘れた場合は、気付いた時点で出来るだけ早く貼ってください。翌日からはいつもと同じ時間に貼り替えてください。貼り替えるのを忘れた場合も同様です。4日以上間が空いてしまった場合は再開する際のパッチのサイズが異なる場合がありますので主治医に相談してください。

リバスタッチパッチ/イクセロンパッチの副作用

代表的な副作用は、かゆみや発赤などの皮膚症状と、嘔気などの消化器症状です。 皮膚症状の予防には新しいパッチを貼るときに前回と異なる場所に貼ることが大切です。貼る場所を複数決めておいて、その中でローテーションするのも有効です。

入浴後(または体を拭いた後)に保湿剤を塗ることも有効です。新しいパッチを貼った後、貼った部位の周囲を避けて塗るようにしてください。発赤やかゆみが続く場合には軟膏などを使用することもあるので主治医に相談してください。

心疾患、消化器疾患、肝機能障害などがある方は使用にあたり注意が必要です。現在治療中の病気、過去の病気も含め必ず主治医に相談してください。


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