アルツハイマー型認知症とは

アルツハイマー型認知症とは

認知症の半分以上を占め、女性に多い

アルツハイマー型認知症は、認知症の中で一番多いとされており、男性よりも女性に多く見られます。また脳血管性の認知症などの患者数が横ばいであるのに対して、どんどん増加の傾向があるとの報告があります。

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特殊なたんぱく質による神経細胞の破壊が原因

アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβやタウと呼ばれる特殊なたんぱく質が溜まり、神経細胞が壊れて死んでしまい減っていく為に、認知機能に障害が起こると考えれています。また徐々に脳全体も委縮していき身体の機能も失われていきます。

神経細胞とアミロイドβのイメージ


脳の異変は発症の何年も前から起きている

アルツハイマー型認知症では最近の出来事を忘れてしまうという症状が見られますが、これは記憶を司っている海馬と呼ばれる部分に病変が起こり、記憶が出来なくなるものです。ただ、記憶の部分が侵される事で記憶出来ないとわかりますが、実は記憶障害が出る何年も前から、脳の異変は起きています。アルツハイマー型認知症に対する治療薬は、早期から投与する事で症状の進行を緩やかにするという報告もあるので、早期発見が重要になってきます。

脳のイメージ図


遺伝する認知症もあります

若年性認知症の一部には家族に遺伝する認知症もあります。アルツハイマー型認知症の一部は遺伝すると言われており、家族性アルツハイマー病と呼ばれています。検査で分かることもありますが、100%事前に分かる訳ではありません。家族や親族が家族性アルツハイマー病だと分かっている場合は、自分も発症する確率が高まりますので早期発見・治療を心がけましょう。

アルツハイマー型認知症の症状

記憶障害

アルツハイマー型認知症の代表的な症状が物忘れです。誰でも忘れる事はありますが、忘れている事を指摘されると「そうだ、忘れていた」と思い出せます。しかしアルツハイマー型認知症の方は、体験そのものを記憶できていないため、思い出す事が出来ません。
例えば、会う約束をしていたとしても、約束をしたこと自体を忘れてしまい、そんな約束をした覚えがないとなってしまうところが、一般的な物忘れと違うところです。

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判断能力の低下

アルツハイマー型認知症になると判断力も低下します。例えば料理をする際、調味料をどれくらい入れたら良いかや、どんな食材を使うかなどの判断が出来なくなります。さらに、症状が進行すると、手順がわからなくなって料理すること自体が出来なくなります。
掃除をする際、捨てる物がわからない、片付け方が分からなくなる為、部屋が散らかりゴミだらけになる事もあります。臭いにも鈍感になる為、ゴミが増えても気になりません。
また服がちぐはぐになったり、季節に合わない服を着たりする事もあります。

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見当識障害

今日の日付がわからなくなり、アナログ時計が読めなくなります。デジタル式だと読める人もいますが、症状が進行すればデジタル式も読めなくなります。
絵が得意だった人でも、物を見ながら絵を描くという事が出来なくなります。
また自分がいる場所がわからなくなり、買い物先などの良く行く場所で迷子になったり、家の中でもトイレの位置がわからない、またトイレの前に立ってもドアがわからなくなり、失禁してしまう場合も出てきます。

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>>失禁したときの対応と改善策はこちら

その他の行動・心理症状(BPSD)

大事な物が無くなった、盗られたと家族を責めたりする「物盗られ妄想」や、外へ出てウロウロする「徘徊」、お風呂に入らないなどの「介護拒否」などがよく見られるようになります。また家族の顔がわからなくなったり、鏡に映った自分の顔がわからず「怖い顔をした人がこっちを見ている」とそれに対して怒ったりする事も出てきます。

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アルツハイマー型認知症の方への対応

話題を繰り返す事に怒らない

アルツハイマー型認知症の方の場合、同じことを何度も繰り返し聞いたり話したりします。同じことを繰り返し聞かれると「さっき言ったでしょう」などと対応してしまいがちですが、本人は忘れてしまっている為、聞いていないというだけです。
また同じ話を繰り返す場合も「同じ話ばかりしている」と言われると、本人は嫌な事を言われたと不快に思ったり、怒られたと感じます。このとき、この不快や怒られたという感覚だけが残りやすく、認知症初期のうつ傾向に繋がる事もあります。
そのため、介護者は繰り返す話題に怒らず、出来るだけ付き合ってあげることが大切です。
ただし、ずっと付き合うことは介護者の負担になる場合があるので、そのようなときは、興味がある違う話題に変えて話をしてみましょう。

不安を感じたら早期の受信を

アルツハイマー型認知症は徐々に悪化する物忘れではなく、急に酷い状態で現れる場合もあります。記憶や見当識に障害がみられる場合、認知症を疑って早く受診をしましょう。症状が重くなってからでは改善が難しくなります。

>>病院は何科を受診する?

カレンダーやメモなどを利用する

約束など大事な予定がある場合は、本人がよくわかる場所に大きく書いて貼り出したり、カレンダーを使って、確認出来るようにしましょう。
家にあるのに忘れて同じ物を買ってしまう場合も、本人が良く見る場所、例えば冷蔵庫のドアなどに、あるものを書いて貼り出したり、買い物する時は必要なものだけをメモに書くようにしましょう。
ただ物と名前が一致しなくなっていれば、貼り出してもメモもわからず買ってしまいますので、買い物は1人ではなく付き添いで行うようにします。

薬の管理をする

薬の飲み忘れや、逆に飲んでいないと思ってたくさん飲んでしまい危険な状態になる場合もあるので、薬の管理は必要です。1回分をまとめてカレンダーなどに貼って、飲み忘れがないように工夫をしてみてください。ただ、1人で管理するのは段々難しくなるので、家族やヘルパーが管理して飲むまでを見届けましょう。

>>アリセプト(ドネペジル)ってどんな薬?

本人生活しやすい環境をつくる

時計などはアナログよりもデジタル式の方が見やすい場合がありますが、本人に確認する事が大事です。
わかりにくいこと、わかりやすいことは、人によって違うので、確認しながら変えてみてください。例えば、トイレがわからない場合も、ドアにトイレと大きく書いたり、ノブの部分をわかりやすくするなどは、本人と確認しながら行ってください。
また家の中をウロウロしている時にはトイレに誘導してみるなどしてみましょう。

連絡先を常備し、周りに協力を求める

一度でも外出で迷いそうになったら、もしもの場合に備えて名前や連絡先を服に付けたり、小型のGPSをポケットに入れておくなど対策をとりましょう。
また徘徊が始まり家の外に出たがる時は、出来るなら一緒に近所を回って帰ってくるなどしてみましょう。勝手に出て行かないよう、鍵は手の届かない場所につけるなどし、可能ならば近所の人や民生委員などに徘徊があるという事を伝えて協力してもらいましょう。

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否定はせずに話を合わせる

物盗られ妄想や幻視などの訴えが起きている時は興奮している場合があります。否定すると、余計興奮に繋がり、わかってもらえない事に腹を立てるだけになりますので、話しを合わせてみましょう。
物盗られ妄想なら一緒に探しながら、話題を変えてみたり、一息入れてからもう一度探しましょうと、場所を変えてみると興奮が治まる場合があります。

>>物盗られ妄想が起こったらこちら

無理強いはせず、安心できる言葉かけをする

例えば、お風呂に入らない、また服を着替えないなどは、服を脱いだりするのが面倒であるだけの時もあり、お風呂に入ってしまうと気持ち良いとなる場合もあります。
「お風呂は気持ち良いですよ」と気持ち良い事を伝え、本人が安心できる会話をしているうちに脱いでもらえる場合があります。
介護拒否に対し無理強いをすると、余計拒否が強くなったり興奮したりするので止めましょう。

>>介護拒否の原因と対応、改善策についてはこちら

不快な場面をさける

嫌な思いや不快な事などの感情は残りやすいと言われています。不快な思いなどはストレスとなって、症状の悪化に繋がる場合もあり、介護者が出来る範囲で、ご本人に合わせるようにするのが、介護を続けるコツになります。ただ、段々介護負担は大きくなってくるので、介護者が倒れてしまう前に、介護保険のサービスも利用して対応していくようにしましょう。

>>介護保険制度ってどんな制度?

アルツハイマー型認知症の予防・改善策

早期発見と早期治療が大切

現時点では、アルツハイマー型認知症の完治は出来ないとされています。でもいろいろ薬が開発されていますので、早期発見、早期治療を始めた方が症状の進行が緩やかになります。最近何かおかしいと異変に気付いたら、受診しましょう。認知症専門病院に行けるなら一番良いですが、ご本人が納得しなければ、神経内科や物忘れ外来などがあり、CTやMRIなどの検査が出来る病院に行ってみてください。

>>認知症はどの病院で診てもらえるの?

アルツハイマー型認知症に有効と認められた薬があります

現在アルツハイマー型認知症を完治させる有効な治療法はありませんが、症状を改善させる薬はいくつか存在します。現在日本では4種類の薬が販売されていますが、それぞれ作用機序や副作用が異なります。また抗精神薬にも周辺症状を改善させる報告もあります。いずれも作用機序や副作用が異なり、患者さんによっては利き辛い事もあるので主治医と相談しながら服用することが大切です。

予防習慣を心がける

アルツハイマー型になる原因ははっきり解明出来ていませんが、生活習慣を見直すことで、予防につながるとされています。高血糖状態や喫煙、飲酒、運動不足などは発症リスクを高めると言われています。認知症以外の生活習慣病予防にも繋がるので健康的な習慣が望ましいです。また青魚は認知症発症リスクを下げると言われていますので積極的に食べましょう。

>>認知症になりにくい生活習慣とは?

睡眠不足を避ける

睡眠不足気味の人は、十分に睡眠がとれている人より5倍もアルツハイマー型認知症になりやすいというデータがあります。脳は寝ている時に、アミロイドベータなどの老廃物を取り除いています。しかし睡眠不足になると、老廃物が除去出来ず蓄積されるようです。
また国立精神神経医療センターの研究では、30分程度の昼寝をするとアルツハイマーの発症リスクを5分の1にできるとの事です。

楽しくリハビリをする

リハビリを行うと、脳が活性化し症状の改善に繋がると言われています。簡単な本を声を出して読んでみたり、音楽を聴いたり、一緒に歌うのも良いです。
家族と昔話をよくしましょう。回想法というリハビリで脳が刺激されます。
また手指を使う折り紙やちぎり絵やお手玉など、遊びも兼ねて楽しくリハビリが行えるようにしましょう。
デイサービスなどの利用は大勢の人と会う事になり、良い刺激になる場合があるので、本人が嫌でなければ勧めてみましょう。

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出来る事は一緒についてやってみる

ご本人が出来る事は介護者がついて一緒にやってみましょう。例えば料理が下手になったとしても、指示をもらうと出来る場合があります。料理や掃除なども出来る事は本人にやってもらいましょう。
男性でも掃除は出来るので「ここを掃除してもらえると助かる」などと任せてみましょう。まだ自分には出来る事があると自負出来るような環境を作り、残存能力を生かす事は、症状の悪化を防ぎます。



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