加齢によるもの忘れと認知症の違いは?
年齢を重ねると、脳の老化によって誰もがもの忘れをしやすくなりますが、加齢に伴うもの忘れと、認知症は大きく違います。
加齢によるもの忘れと、認知症によるもの忘れの違いについて、どう違うのか解説します。
加齢によるもの忘れ
- もの忘れを自覚している
- 体験したことの一部を忘れる
- ヒントがあれば思い出す
- 日常生活に支障はない
- 判断力は低下しない
認知症によるもの忘れ
- もの忘れの自覚がない
- 体験したこと自体を忘れる
- ヒントがあっても思い出せない
- 日常生活に支障がある
- 判断力が低下する
加齢に伴うもの忘れとは?
人は誰でも加齢と共に脳の機能が衰え、年相応の自然なもの忘れがみられるようになります。
加齢による普通のもの忘れとは、例えば「うっかり時間を忘れてしまう」「印鑑をどこにしまったか忘れて探している」などで、これは認知症の症状ではありません。
記憶は、①記銘(情報を学習し覚える)、②保持(情報を記憶として蓄える)、③想起(情報を思い出す)の三段階からなっています。加齢によるもの忘れでは③の想起の機能が低下することで、覚えていることを思い出すまでに時間がかかるようになるのです。
その為「約束したこと」や「印鑑をしまったこと」自体は覚えていて、“自分が忘れていること”には自覚があります。日常生活に支障はなく、認知症のような病状の進行や記憶以外の障害がみられることもありません。
認知症の症状としてのもの忘れとは?
認知症の症状によるもの忘れとは、「約束したことを覚えていない」「印鑑をしまったことを忘れる」といった、”そのこと自体”を覚えていられないこと。これは記憶の初期段階である①記銘が出来なくなることによって生じます。
例えばアルツハイマー型認知症では少し前の経験そのものを忘れてしまうため、何度も同じことをたずねるといったことが生じます。
体験自体の記憶がないので、本人は「約束なんかそもそもしていない」とか「印鑑がない、盗まれた」と怒ることがあるため、ケアには注意が必要です。 一方で楽器や裁縫、家事など、技能を通した手続き記憶は保たれやすいと言われています。また、「覚える」機能には支障をきたしますが、想起することは可能なため、昔のことなどを思い出すこともできます。
出典:1)今井幸充.認知症を進ませない生活と介護.法研.2015.p18~19,50~51.(2020年5月28日)
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