記憶障害とは。記憶障害の種類と対応

記憶障害とは、その名の通り自分の体験した出来事や過去についての記憶が抜け落ちてしまう障害のことを言い、認知症の中核症状のひとつです。 ここでは記憶障害とはどのようなものか、対応や対策について説明します。


この記事の目次
  1. 記憶障害とは
  2. 短期記憶障害
  3. 長期記憶障害
  4. エピソード記憶の障害
  5. 手続き記憶の障害
  6. 意味記憶の障害
  7. 記憶障害の進行
  8. 記憶障害がでたときの周囲の対応
  9. 本人に安心してもらうことが対応の第一歩
  10. 記憶障害の改善策

記憶障害とは

記憶障害とは、その名の通り自分の体験した出来事や過去についての記憶が抜け落ちてしまう障害のことを言い、認知症の中核症状のひとつです。

私たちのような自覚のある物忘れとは違い、自覚がなく、それゆえに日常生活に支障が出てきます。また、最近のことからだんだん忘れていくという特徴があります。そして、中核症状全般にいえることですが、進行とともに悪化していきます。

認知症に関する記憶の種類には、短期記憶、長期記憶、エピソード記憶、手続き記憶、意味記憶の大きく5つがあると考えられています。

短期記憶障害

短期記憶とは、短い期間のみ記憶として脳に格納される(海馬という部分に送られる)出来事を指し、時間の経過とともに忘れ去られるか長期記憶に移行されます。認知症の方は、短期記憶にすら記憶が格納されにくく(海馬が正常に作動せず)新しい事を覚える事がとても難しくなります。これを短期記憶障害といいます。

具体的には、今日の日付が分からない、どこに物を置いたか忘れる(いつも探し物をしている)何度も同じことを聞くなどの症状が見られるようになります。

また、新しい記憶だけでなく今までの記憶すら徐々に失われていきます。認知症初期には比較的直近の記憶から失われていき、ついさっきの出来事が思い出せなくなり、次第に思い出せない事が増えていきます。

長期記憶障害

長期記憶とは今までに体験した出来事で、普段は考えていなくても、何かのキッカケで記憶の底から思い出すことのできる記憶をいいます。健常者であれば基本的には亡くなるまで持ち続ける記憶です。これらの記憶が抜け落ちてしまうことを、長期記憶障害といいます。

具体的には一般的に知られている「祝日の名前」や「自分が通った学校の名前」「子供の消息」「自分の職業」についてなど、本人なら当然知っているはずの出来事についても、認知症が進行すると忘れてしまい、最終的には家族の名前や顔も忘れてしまいます。例えば結婚したことを忘れて、女性であれば旧姓で呼ばないと気付いてもらえないことがあります。

エピソード記憶の障害

体験したこと(エピソード)そのものを忘れてしまう障害です。本人は体験自体が抜け落ちているので、周囲と話がかみ合わなくなり、人間関係が悪化することがあります。

手続き記憶の障害

身体で覚えたことを忘れてしまう障害です。身体で覚えたことは比較的保たれている傾向があるので、包丁で食材を切ったり、洗濯物をたたんだり等々、できることを役割にして、生きがいにつなげるケアを行ったりしています。

意味記憶の障害

言葉の意味を忘れてしまう障害です。「あれ」とか「それ」などの表現が多くなり、意思疎通が難しくなってきます。

記憶障害の進行

一般的に、認知症の進行度に合わせて記憶障害の症状も悪化していきます。

記憶障害がでたときの周囲の対応

本人に安心してもらうことが対応の第一歩

記憶障害は、本人に自覚がありませんし、進行性の障害ですので、周囲の人や環境を本人に合わせる必要があります。

本人に体験そのものが抜け落ちてしまっていると、本人にとってその体験(事実)は存在しないことになります。こうして本人が認識している世界と、周囲の人が認識している世界にズレが生じます。本人にとっては、自分の認識している世界こそが真実なので、周囲の人が事実を伝えても、本人はウソを言われていると認識します。
つまり、本人の言動を訂正することは、本人からしてみれば、自分の言動を否定されたり、抑制されている感覚になります。

周囲の人は、本人の言動を訂正しがちになりますが、それをすればするほど、本人の不安は高まり、逆効果となります。周囲の人が本人に合わせる必要性があるというのは、こういう理由です。 まずは、本人の言動を笑顔でいったん受け止めて、安心していただくことが対応の第一歩となります。


記憶障害の改善策

かかりつけ医に相談して適切な処方を

基本的に進行性の障害ですので、改善は難しいといえますが、1999年と2011年にそれぞれ進行を遅らせる薬が処方されるようになりました。 主治医に本人の症状や状態を具体的に説明し、相談されたうえで、本人に合った薬と分量を処方してもらうとよいでしょう。

また周囲の人や環境が、本人の不安を高めるような状態も、認知症の進行を促進させてしまう可能性があるので、対応にも配慮することが重要です。


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