認知症介護の注意点:⑤睡眠を促す支援
ベッドと布団、どちらを選んだらいい?
今までの生活習慣ではベッド、布団のどちらだったのでしょうか。今までの生活習慣を変更することによって、混乱する場合もあります。
布団の長所は、ベッドのように転落の危険性はないこと、寝る場所を選ばないこと、布団の買い替えが安価である、などがあります。
短所は、起き上がりや立ち上がりがしにくい、布団や枕に足を引っ掛けたり、つまづきやすい、床に近いため埃などを吸い込みやすい、介護者の負担が大きい、布団の上げ下ろしが負担になる、などがあります。
ベッドの長所は、足が床につく高さに調節できたり、ベッド柵につかんで立ち上がることができるため、膝や腰への身体的負担は軽減できます。また、介護者の介護の負担も軽減できます。介護保険で、ベッド周囲の物品をレンタルすることが可能です。
短所は、一番低くしてもある程度の高さはあるため、転落の恐れがあります。また、ベッドを置くスペースを確保しなければならないことや、利用者の体型によってベッドのサイズも異なります。電動介護ベッドの場合は、電源の確保も必要になります。
ベッドも布団も長所短所がありますので、ご自宅の状況や利用者の状態に応じて使用しましょう。
どのような寝衣を選んだらいい?
浴衣、パジャマ、前開きタイプやスウェットのようなかぶるタイプなど寝衣には様々な種類があります。
浴衣は、通気性もよく、洗い替えもしやすく乾きが早い、体型に合わせて調節できるという特徴があります。また、前開きであるため、着替えやすいです。しかし、はだけやすい、きちんとしわをとらないと皮膚トラブルを起こしやすいなどの短所があります。
パジャマは、様々な種類が販売されています。素材は綿で、肌触りが良く、洗い替えがしやすく乾きが早い、シンプルなものを選びましょう。季節に応じて、布の厚さや種類を選べます。
前開きタイプは、着替えはしやすいですが、ボタンを留めるとき、指の細やかな動きが必要とされます。ボタンの大きさやスナップなどに替えることで着替えがしやすくなります。
かぶるタイプのパジャマは、麻痺などによって指先の動きが難しい場合、ボタンを留めずに済むため着やすいです。
着る人の好みや状態に合わせて選びましょう。
不眠を訴える、寝てくれない場合は?
高齢になると、寝つきが悪く、眠りが浅くなります。「今までは二度寝していたのに、眠れなくなった」、「夜間にトイレに行く回数が増えて、ぐっすり眠れなくなった」とおっしゃる方もいらっしゃいます。また、「仕事を辞めてから生活のメリハリがなくなった」「なんとなく気分がすぐれない」などストレスやうつ状態による睡眠障害を訴える方が多くなります。
認知症の人の場合は、このような理由だけでなく、昼夜逆転をしている場合が多いと言われています。
昼夜逆転とは、昼間はウトウトしたり、寝てしまうため、夜になると眼が覚めてしまう、眠れない場合があります。そのため、冷蔵庫の食べものを食べていたり、夜外出してしまうなどの行動がみられます。
昼夜逆転を解消する方法は、日中の活動量を上げ、起きている時間を延ばしましょう。例えば、規則正しい日課を作る、デイサービスやデイケアを利用する、散歩に出かけて日光を浴びる、食事の時間を守る、運動を行い適度な疲労感を得る、などが効果的と言われています。
また、レビー小体型認知症の場合、幻覚や幻視によって夜眠れなくなる場合があります。夢をみながら暴れている、大声を出す、立ち上がるなどの症状がみられます。このような場合は、声をかけたり、起こしましょう。ただし、起こす人はけがしないように十分注意して下さい。
本人が安心できる声かけや環境を整えると共に、医師に相談して薬の調整などをしてもらいましょう。
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