種類別認知症の原因と症状

アルツハイマー型認知症

認知症の割合として最も多いアルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドベータというたんぱく質がたまり正常な神経細胞が壊れ、脳萎縮がおこることが原因だと言われています。しかしながら、アミロイドベータが蓄積する原因については明確なことは分かっていません。

アルツハイマー型認知症の発症にはこれまで加齢や遺伝が関係するということは明らかになっていましたが、それに加えて近年、糖尿病や高血圧などの方はそうでない方よりもアルツハイマー型認知症になりやすいことが科学的に証明されました。そのため、予防には生活習慣の改善が重要であるとされています

初期の症状 期間2~6年間

記憶に障害が起こります。食べた夕食の内容を忘れているのではなく、夕食を食べた体験そのものが記憶できないといった症状が見られます。

中期の症状 期間2~3年間

段々と現在と過去の区別がつかなくなり、近い時期の記憶から失われていきます。代表的な症状に徘徊があり、例えば過去の記憶通り朝に出社しようと家を出て、もともとの目的を忘れてしまい外で混乱してしまうといったことが起こります。
尿意や便意が分からず、失禁が目立ちます。

後期の症状

脳萎縮がさらに進行して、言葉の数も意味も失われていき、やがては話が通じなくなります。食事に集中できないため介助が必要になり、歩行が緩慢となり姿勢が前倒したり、左右どちらかに傾いていたりします。
やがて寝たきりになり、上下肢の関節が拘縮、嚥下障害も出て栄養不良と誤嚥性肺炎が起こりやすくなります。

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脳血管性認知症

アルツハイマー型についで多く、認知症の20%を占める脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血など、脳の血管障害によって起こる認知症のことです。脳の血管が詰まっている梗塞巣が増えたり、大きくなったりするごとに徐々に脳の機能が低下することで認知症や運動障害が引き起こされます。

原因となる血管障害は生活習慣病が原因で引き起こされます。そのため高血圧・高脂血症・糖尿病などにならないようにする事が脳血管性認知症の予防に繋がります。生活習慣の改善が重要です。また、脳血管性認知症の原因となる脳血管障害を早期に治療してリハビリを行えば、症状の進行を抑えることも出来ます。

初期の症状

意欲低下や自発性低下、夜間の不眠や不穏が目立ちます。どれも症状の変動が激しいことが多いです。また影響を受ける脳の部位が限られており、できることとできないことがはっきりしていることが特徴です。
非常に小さな脳梗塞や脳出血による場合は、自覚症状がなかったり、感じてもふらつきやめまい程度であまり気がつかないことがあります。

中期以降の症状

脳血管性認知症は脳血管疾患が原因なので、発作が起こる度に症状が段階的に重くなります。ダメージを受けた脳の部位によって出る認知症の症状が異なるため、記憶障害がひどい一方で判断力は保たれているという「まだら認知症」がみられるのも特徴です。
脳血流が少なくなる事が原因のため、認知症の症状が日ごとに大きく変わります。

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>>脳血管性認知症で発生するまだら認知症とは?

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、レビー小体というたんぱく質が脳にたまることで起こる脳の萎縮が原因だと言われています。

このたんぱく質はパーキンソン病の原因にもなるやっかいな存在で、認知症を伴うパーキンソン病と言われる症状は実はこのレビー小体型認知症だということも最近分かってきました。しかしながら、なぜ異常なたんぱく質がたまるのかはまだ解明されていないのが現状です。

レビー小体型認知症の症状について

パーキンソン病に似た症状で、体の動きが緩慢になり、歩行の障害や体の硬さともなうため、転倒しやすくなります。
幻視として色がついた鮮明な人・動物・虫などが昼夜問わず出現したり、映像に加えて幻聴も発生したりします。睡眠時に夢にあわせて踊ったり、手足を動かしたり、歩いたりする行動もとってしまう症状もあります。
また、認知機能障害も変動しやすく、具合が良いときは話が通じるが、悪くなると話も周りのこともわからなくなります。気分や態度、行動の変化が特徴です。

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前頭側頭型認知症

多くは初老期に発症します。原因はわかっていませんが、ピック球という異常構造物が神経細胞にたまる場合と、TDP-43という蛋白がたまる場合が今のところ発見されています。そのため一つの病気というよりも、いくつかの病気に分かれていると考えられています。10年以上かけてゆっくり進行することが多いです。

前頭側頭型認知症の症状について

人格や性格が極端に変わる、清潔保持・衛生面が管理できない、柔軟な思考ができない、反社会的な行動が増えるなどが代表的な症状です。また、毎日同じ時間に同じコースを同じパターンで、天候に関わらず繰り返し歩くなど、決まった時間に同じ行動を繰り返さないと不機嫌になることもあります。

その他に「今自分が置かれている状況と関係ない言葉が繰り返し出てくる」「物の名前が意味する事がわからなくなる」「言葉が段々でなくなる」などの症状があります

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その他の認知症

皮質基底核変性症

発症する年代
40歳代から80歳代にわたりますが、ピークは60歳代です。

原因
脳では前頭葉と頭頂葉に強い萎縮が認められます。神経細胞やグリア細胞のタウ陽性変化がみられます。なぜこのような変化が起こるかは分かっていません。

症状
手足に硬さや運動ののろさ、思うように使えないこと(運動失行)など歩行が不自由になり、やがて付随運動が起きてきます。 ある姿勢をとった時や体重を支える時に起こる姿勢時振戦はありますが、パーキンソン病のようにじっとしている時に手が震えること(静止時振戦)はふつうありません。

大事なこと
ゆるやかに進行しますので 発病後寝たきりになるまでの期間は5~10年が多いようです。 動かないとそれだけ早く動けなくなるのでリハビリテーションが大切です。嚥下が悪くなるので、むせて肺炎を起こさないこと、転んで頭部打撲や骨折を起こさないことに注意します。

クロイツフェルド・ヤコブ病

発症する年代
初老期に発病します。

原因
プリオンというンパク質による感染で 脳に海綿状変化が見られます。

症状
非常に稀な病気で、この病気は非常に進行が早く、発病後数ヶ月から1年で死に至ることもあります。 不安・抑うつ・自発性低下・異常行動などの精神症状で緩徐に発症し、記憶障害や持続性の痛みを伴う四肢顔面の異常感覚を認め、経過中、運動失調・舞踏運動・不随運動・眼球上方注視障害などを呈し、無動性無言に至ることがあります。

大事なこと
本人の急激な変化をまわりが受け止めることが大切です。

進行性核上性麻痺

発症する年代
40歳以降で、男性に多く大部分の人は50歳台から60歳台に発症します。

原因
黒質、上丘、淡蒼球、視床下核、小脳歯状核の神経細胞が減少し、アルツハイマー神経原線維変化という異常構造が出現します。

症状
認知症状が初期になることがあります 歩行時にバランスを崩しやすく転倒しやすい。パーキンソンと似ているが、脊柱は前屈しないで直立もしくは若干後方に傾いていることが特徴であるので、多くは後方に倒れやすく後頭部を殴打しやすいです。 眼球運動には下向きが傷害されるので向き難くなります。最後には固定してしまいます。聞き取りにくい(構音障害)やむせこみやすく(嚥下障害)も出てきます。

大事なこと
バランスを崩しやすいので 見守りが大事です。 下が見えなくなるので、食事などは目線よりも上において視界に入るよう工夫しましょう。

脳脊髄液循環障害

脳は頭蓋骨と硬膜、クモ膜、軟膜により保護されています。 このクモ膜のなかを脳脊髄液という液体が流れており、これにより脳が壊れにくい仕組みになっています。 この脳脊髄液の生産と排泄のバランスが崩れたり、何らかの原因でその流れに障害が起こると脳脊髄液が頭蓋内にあふれます。成人では頭蓋骨が硬くなっていますので、脳そのものを圧迫して脳を破壊し認知症を生じさせます。 このような病気を「正常圧水頭症」といいます。

正常圧水頭症

発症する年代
初老期に発症しやすい。

症状
歩行障害、認知機能障害、尿失禁を三大症状とするこの病気は、あまり注目されず、最近やっとCTやMRIなどの検査での特徴や、診断法が確立されつつある状態です。
正常圧水頭症の特徴は、自発性、意欲の低下と注意力障害が中心です。つまり、呼びかけや、問いかけに対し反応が遅くなり、注意力が持続しないので、すぐに飽きてしまうようになります。
そのため歩行が不安定になったり、一日中テレビを見ていたり、ボーとしていたりするなどの状態が多く見られます。

規模
この病気の発生率は現在まだ正確にはわかっていません。 ある病院の物忘れ外来では、患者さんの3.5%が特発性正常圧水頭症であったと報告されており、この数字から考えると、全国に約7~8万人の患者さんがいるものと推定されます。
しかし実際にはこの病気であるにもかかわらず、診断されていない患者さんもいるため、実際にはもっと多いだろうと言われています。

治療
治療は水頭症シャント手術を行います。これには大まかに二つの方法があり、全身麻酔で行う脳室―腹腔(V-P)シャント手術と腰椎麻酔で行う腰椎―腹腔(L-P)シャント手術です。
この病気の認知障害や尿失禁、歩行障害は、治療可能な病気であるため、まずこの病気を疑ってみることが大切になります。

大事なこと
治療可能な認知症です。 思い当たる症状がある方は、まず脳外科を受診してみましょう。

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進行麻痺

進行麻痺は脳の梅毒です。
梅毒に感染してから10~20年後に認知症症状を発症し、放置すると進行性の経過をたどり死に至ります。

アルコール性認知症

アルコールは神経毒であり、長期・大量に飲用すると神経細胞が死滅し、認知症となる可能性も考えられます。
特にアルコール度の強い蒸留酒を長期飲用すると、コルサルフ病といい、記銘力障害、失見当識、作話症を呈する場合があります。

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身体疾患に伴う認知症

身体の様々な内臓疾患が直接・間接に脳に影響を及ぼし、認知症を引き起こすことがあります。例えば、肝硬変では血液中にアンモニアが増え、これが脳を破壊し認知症を生じさせます。 また、甲状腺ホルモンは全身の代謝を調節する役割があり、このホルモンが不足すると、脳の代謝も低下し認知症を呈してきます。その他にも、重い貧血や心疾患、肺疾患等でも認知症を起こすことがあります。



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