認知症高齢者への接し方:⑥前頭側頭型認知症の人への対応
前頭側頭型認知症の人に現れやすい症状とは?
認知症の中でも、前頭側頭型認知症の人に現れやすい特徴的な症状があります。例えば、社会的に不適切な言動・悪ふざけ、周囲の人に配慮のない言動や身勝手な言動などがあります。
脱抑制行動とは?
「脱抑制行動」とは、行列に割り込む、診察の途中に退室してしまう、本来言ってはいけないと認識されることを平気で口走る、TPOをわきまえた行動ができない、など礼儀やマナーの欠如のことを言います。
反社会的行動とは?
「反社会的行動」とは、知らない人の家に勝手に上がりこむ、畑に入って作物を勝手に食べてしまう、万引きを繰り返す、痴漢、レジを通していない物を食べてしまう、交通ルールの無視、などの違法行為のことを言います。 しかし、本人は病識がないため、悪びれた様子はみられません。
性的逸脱行動とは?
「性的逸脱行動」とは、卑猥な話をする、異性の身体を触る、自分の身体を触らせる、などの行動のことを言います。
その他に現れやすい症状は?
「態度の変化」として、問いかけに対して不まじめな返答をする、協力しない、無視する、馬鹿にした言動、ひねくれる、怒りっぽくなる、情緒不安定などがみられます。
人の真似をするなど他者に影響されやすい「被影響性の亢進」や、毎日同じ時間に同じルートで散歩をしないと気がすまない、毎日同じものを食べないと気がすまないといった「常同行動」が現れる場合があります。
前頭側頭型認知症の人への対応は?
家族は、常に心配になり、ひとりでの外出や他者との交流を制限してしまう場合があります。しかし、前頭側頭型認知症の特徴を理解し、家族だけで対応しようとせず、あらゆるサービスを利用しましょう。
例えば、外出や通院はヘルパーに依頼する、近隣のスーパーや店に病識や症状を理解してもらい、反社会的行動がみられた際には、家族に連絡をしてもらうなどの対策をとることで、住み慣れた地域で生活を続けることができます。
そして、訪問看護・介護、巡回訪問入浴などのケアを受けている際に性的逸脱行動がみられた場合は、他のことに気をそらすように声かけや誘導をしましょう。
本人の自覚はないことから、被影響性の亢進、常同行動やこだわりを活かして、毎日のタイムスケジュールを作成し、規則正しい生活を習慣化していくことも効果的と言われています。
参考文献:1)今井幸充:認知症を進ませない生活と介護 法研,平成27年 p40~41
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