認知症高齢者への接し方:④日常生活を安全に安心して過ごすためには

この記事の目次
  1. 家電製品は必要なもの・必要な機能に限定する
  2. 買い物はなじみの店や店員の協力を得る
  3. 訪問販売や詐欺に遭わないために
  4. 成年後見制度を利用する
  5. ものを集め続ける「収集癖」への対応
  6. 作り話や嘘は自己防衛の表れ
  7. 車の免許を返納するタイミング

家電製品は必要なもの・必要な機能に限定する

多機能な家電製品や、シンプルで説明がない家電製品など、認知症の人でなくても最初は使い方が分からず戸惑う人もいらっしゃるのではないでしょうか。 認知症かな?と感じた時の具体例として、「今まで使用していた家電製品の使い方が分からなくなった」という場合があります。家電製品によっては、危険が伴うので、介護者や家族の見守りが必要となります。特に注意しなければならないのは、火災につながる家電製品の使用です。例えば、ストーブ、コンロ、電子レンジやアイロンなどは注意が必要です。また、電源コードやプラグの劣化による火災も考えられます。独居の場合は、家族が訪れた際に家電製品の劣化がないかどうか確認をしましょう。

調理の場合、訪問介護ヘルパーと一緒に調理を行う、配食サービスを利用するなどの方法があります。

また、多機能の家電製品で必要のないボタンは触らないように目隠しをしておく、洗濯機や電子レンジのように、順番にボタンを押す家電製品は、ボタンの上に番号を書いたテープを貼っておくと分かりやすいです。

その他、アイロンを使わなくて済む服を選べば、アイロンを使う頻度が減ります。また、掃除機は重くて持ち歩くことが難しい場合は、ハンディ型の掃除機、ほうきや拭き掃除を行うシートを利用する方法もあります。家電製品を選定して、必要なものだけに絞りましょう。

壊れた場合は次も同じ製品を選ぶ、近所の家電製品販売店で修理をしてもらう、新しい家電製品を購入する場合は操作が簡単なものを選ぶ、など工夫をしましょう。

買い物はなじみの店や店員の協力を得る

認知症に気づく具体例として、「買い物でおつりの計算ができなくなるため、高額紙幣で支払いを行う」場合があります。そのため、小銭がパンパンに溜まってしまいます。また、おつりをもらうこと自体、忘れてしまう人もいます。

買い物は、訪問介護ヘルパーに同行してもらうことで、おつりのもらい忘れや、小銭が溜まることは解消できるかと思います。ひとりで買い物に行く時は、近隣のなじみの店に通う場合が多いと思われます。そのため、店員に認知症の症状を説明して、理解、協力してもらいましょう。例えば、パンパンの小銭入れを見た店員が一緒に数えて支払いを手伝ってくれる場合もあります。「お店に迷惑をかけるのではないか」と考えるのではなく、認知症であることを説明することで、地域社会からの協力を得ることができます。その結果、住み慣れた家で生活を続けることができます。

訪問販売や詐欺に遭わないために

日中ひとりで過ごす場合、家に来た訪問販売から必要のないものや高額なものを買ったり、契約してしまう場合があります。その理由として、ひとりで居る寂しさや、話し相手になってくれたお礼のつもりで買ってしまうのです。

このような訪問販売には、クーリングオフの制度を利用する、消費者庁の消費者生活ホットラインに相談するなど速やかに対応しましょう。 また、言葉巧みに高齢者や認知症の人を狙う詐欺も多発しています。「自分は詐欺に遭わない」と思っていても、家族になりすまして緊急性が高い状況や、慌てた様子を見せて不安をあおる状況を作り出します。

訪問販売や詐欺に遭わないためにも、本人だけで財産の管理をするのではなく、家族や成年後見制度を利用しましょう。

成年後見制度を利用する

成年後見制度とは、認知症や障害により判断能力の不十分な人たちを保護・支援する仕組みのことを言います。判断能力によって「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれています。

成年後見人となる人材は、家庭裁判所が家族、弁護士、司法書士などを選任します。そのため、家族が「成年後見人になりたい」と申し出ても、家庭裁判所が希望通りに選任するとは限りません。また、希望に沿わなかったからと言って不服申し立てはできません。成年後見制度については、地域包括支援センターや社会福祉協議会に説明してもらい、家族で相談した上で利用することをお勧めします。

橘慶太税理士の相続コラム「成年後見制度の落し穴:概要とメリット・デメリット

ものを集め続ける「収集癖」への対応

収集癖は、ものが捨てられない、外出時に拾ってくる、必要なものとゴミの区別がつかない、などの理由により、家中ものがあふれている状態です。収集癖の原因として、不安が大きい、孤独(寂しさ)、記憶障害によりものを持っていることを忘れてしまう、誰の持ち物か分からない、必要と思えば集めなければ気がすまない(抑制がきかない)、などです。

例えば、デパートや商業施設のトイレからトイレットペーパーを持ってきてしまう人は、失禁への不安が強い場合や、スーパーやお店の売り物を持って帰ってしまう人は、集めたくて仕方がない、行動が止められない場合があります。警察から連絡を受けて、家族としては「万引きをしてしまった」と落ち込んだり、本人を叱ったりすることがありますが、本人は至って悪気はありません。

このような場合は、あらかじめなじみの店の店員に認知症の説明をして、協力をお願いしましょう。また、一緒に外出した際であれば、無理やり行動を止めずに様子をみましょう。そして、後からそっと戻します。

また、あなたのことをいつも気にしていますよ、安心して下さい、という関わりを持つことは、孤独や不安の軽減を図ります。

作り話や嘘は自己防衛の表れ

認知症の人が何度も同じことを聞いていると、家族は「さっきも話したでしょ!」と言いたくなります。しかし、認知症の人は、記憶障害により同じことを聞いている記憶がありません。そのため、「聞いていない」「知らない」などと言い、険悪な空気になります。このような場合、同じことを何度も聞かれる家族は、しつこいという怒りや嫌気、認知症が進行しているのではないかという不安、何で認知症になってしまったの?という悲しみなど様々な感情が入り乱れると思います。しかし、それは認知症である本人も同じ気持ちなのです。

特に認知症の初期の人は、「本当に何度も聞いていたのかな?」「やっぱりもの忘れが進んできたのかも…」と不安になります。その結果、より一層自分自身を守るために、取り繕うとします。

家族は、このような気持ちを受け止めて、不安を軽減する言葉かけをしましょう。

車の免許を返納するタイミング

高齢者ドライバーの交通事故が増えています。警察庁では、運転免許の更新時に75歳以上を対象に認知症チェック、必要があれば医師の診断書の提出、そして認知症と認められれば免許停止・取り消しとなります。

年々、自主返納する人も増えています。運転免許の返納を行うと、「運転経歴証明書」を申請することができます。運転経歴証明書は、本人確認書類として使用できます。

また、運転経歴証明書を提示すると、バス・タクシー・電車などの運賃が割引されたり、高齢者運転免許自主返納サポート協議会の参加施設・団体から特典を受けることができます。

家族が自主返納を勧めても、公共の交通手段がなかったり、本数が少なかったりと他の交通手段が見つからないため返納に応じない人や、「まだ大丈夫」「私は大丈夫」と思っている人が危険です。しかし、家族が協力する、介護タクシーを利用する、行政のサービスを活用するといった代用の方法を準備すること、事故が起きてからでは遅いことを根気よく説明することが重要です。



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