認知症高齢者への接し方:⑦周辺症状 (行動・心理症状:BPSD)への対応

認知症の症状として、中核症状と周辺症状(行動・心理症状:BPSD)がみられます。中核症状は、認知症であれば誰でもみられる症状ですが、周辺症状は、人それぞれみられる症状が異なります。そのため、その人に合った対応をすることが大切です。

発症から診断まで:②認知症の中核症状と周辺症状(行動・心理症状:BPSD)

この記事の目次
  1. 周辺症状の発症に影響を与える要因は?
  2. 周辺症状の症状とは?
  3. 周辺症状の背景を理解しましょう
  4. 周辺症状への対応とは?

周辺症状の発症に影響を与える要因は?

認知症の人は、家族や介護者の言動に非常に敏感です。そのため、言われたことは忘れてしまっても、叱られたり、きつい言葉で言われたことに対して抱いた嫌な思い、怒り、不安、混乱、寂しさ、悲しみ、自信の喪失といった否定的な感情はいつまでも残っています。このような言動によって発生した怒り、不安、悲しみなどが中核症状に加わり、周辺症状として発症します。

周辺症状の発症には何かしらの要因があります。その要因を作るのは、家族や介護者などの何気ないひと言や行動であることを理解し、言動には十分注意しましょう。

また、生活習慣や環境の変化が周辺症状の発症の要因になる場合があります。例えば、介護者である子どもと同居するために、今まで暮らしていた家を離れることになりました。

かかりつけの医師や看護師、ケアマネジャー、訪問ヘルパー、通所サービスのスタッフと別れて、顔なじみのいない、住み慣れない場所で生活することは心寂しいものです。このような寂しさも周辺症状を引き起こす要因になります。

家の構造や設備、使い慣れない家電機器などの違いによる環境の変化により、トイレを探して家の中をグルグルと徘徊する場合もあります。

その他、今までの住み慣れた家であっても、認知症の人にとって生活習慣が大きく変更することは、周辺症状を発症することにつながります。例えば、バリアフリーに住宅改修を行った、部屋の位置やベッドの位置、家具の位置を移動して今までの動線と変更した、などが考えられます。

認知症の人でなくても、部屋の模様替えをした直後は、無意識に今まで置いていた家具のところまで行ってから「あ、間違えた。位置が変わったんだ。」ということがありますよね。高齢者や認知症の人は、新しいことに適応する能力が低下しています。そのため、変化は小さく、生活に支障のない程度に行うことが重要です。

周辺症状の症状とは?

行動面における症状として、徘徊、暴言・暴力、興奮、依存、攻撃、孤立、介護拒否、多弁・多動、異食、弄便、不潔行為、性的逸脱行為などがみられます。また、精神面における症状として、睡眠障害(不眠、昼夜逆転)、抑うつ、せん妄、妄想、幻覚、不安、焦燥などがあります。

周辺症状の背景を理解しましょう

病気によっては、中核症状による症状と周辺症状によるものとの区別が難しい場合があります。例えば、レビー小体型認知症では、幻視は中核症状です。そのため、診断された認知症の種類からどのような症状が起こるのかを理解しましょう。そして、否定的な感情を抱かせないような関わりを心がけましょう。「今までできていたことができなくなった、何となくおかしい」という認知症の変化は、本人が一番気づいています。それに対して、家族や介護者が否定的な言動を言うことは、本人にとって最も辛いことです。そのため、本人が安心して過ごせるように、環境を整えることが重要です。

周辺症状への対応とは?

周辺症状への治療法として、薬物療法や非薬物療法であるリハビリテーション、回想法(昔の音楽や写真、使い慣れていた物などを触りながら思い出や昔の体験を語り合う治療法)、絵画療法や音楽療法などが効果的と言われています。

認知症の人は、昔の記憶は保たれている場合が多く、自分の体験を話すことで自己肯定感が得られます。また、同じような体験をしている人との一体感や共感を得ることで、充実した時間を共有することができます。

このような非薬物療法は、病院やクリニック、高齢者施設、デイサービスやデイケアなどで行われています。



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