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【本井先生インタビュー】65歳以下で発症する若年性認知症

2016年6月1日

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若年性認知症とは、65歳未満の人に発症する認知症で、2009年3月の厚生労働省の調査によると、19〜64歳までの若年性認知症の患者さんは約4万人と推定されています。

働き盛りの人のQOL(クオリティオブライフ)を下げるために、患者さん本人にとっても周囲の人にとっても大きな問題となります。

今回は、順天堂大学医学部付属順天堂医院認知症診断・予防・治療学講座の本井ゆみ子先生に、若年性認知症についてお話をお伺いしました。


もの忘れ以外にも 若年性認知症のさまざまな症状

若年性認知症は65歳未満の人に発症する認知症で、だいたい日本では、10万人に100人くらいの割合で患者さんがいると言われています。一般的に知られている認知症と同様に多くはもの忘れが原因となって日常生活が困難になり、受診・発見されます。

仕事をされている方だと、重要な会議を無断で欠席してしまう、大事な書類を紛失してしまうなど、業務に支障が起きて会社の医務室などから紹介されていらっしゃることも少なくありません。

若年性認知症の特徴として、もの忘れ以外にも「半側空間無視」といって、体視野の半分が見えにくくなり無視するという症状が現れることがあります。

これは視力などには問題がないのに、目にしている空間の半分に気がつきにくくなることで、歩行中にぶつかってしまう、食事の半分を見落として残してしまう、文字が読めないなどいった症状が起こり、頭頂葉との関連が深いといわれています。

また、視空間認知の障害として道に迷いやすい、地図が読めないなどの症状もみられ、このような症状はもの忘れより先に起こることもあります。

うつとの見分けが難しいケースも

また、若年性認知症の中にも、うつ病と間違われて発見が遅れるというケースもあります。特に女性で、専業主婦の方などは、多少のもの忘れがあっても家事はこなせてしまうため、眠れなくなる、食欲がない、やる気が出ないなど、うつ病に似た症状が目立つために若年性認知症とは気がつきにくいのです。

また女性の場合は、更年期障害の時期と重なることもあるため、認知症だとはご本人もご家族も思いもよらず、発見が遅れてしまうこともあります。

ただし、私の外来にいらっしゃる患者さんの中には「認知症恐怖」という、脳の機能には全く問題がないのに「認知症かもしれない」と受診をされてくる方も少なくありません。こうしたケースは実際にうつ病だったりすることもあります。

誰でも年齢と共に多少のもの忘れは起こりますが、周囲に迷惑をかけたり、日常生活が困難になるようでなければ問題はありません。もし心配な場合は、自己判断せずに、もの忘れ外来を受診するか、近くにないようであれば、心療内科やメンタルクリニックを受診してみましょう。


進行を遅らせるために 運動や音楽など患者さんが好きなことを日常に

若年性認知症も、65歳以上で発症する認知症と同じように認知機能が冒されるために、これまでできていたことができなくなる、失敗が多くなるなどの症状がたびたび起こるようになります。

ですが、若年性認知症の進行のスピードは、がんなど他の病気のように「若い=進行が早い」わけではないことがわかっています。若年性認知症だと診断された患者さんには「好きなことを習慣にしてみましょう」という話をしています。

例えば、有酸素運動が海馬の萎縮を遅くすることがわかっているので、週に3回程度、30〜40分のウォーキングや、麻雀や囲碁、脳トレなどのゲーム、また楽器など音楽を楽しんでもらうなどを勧めています。

また、これまで仕事をされていた方は、急に仕事を辞めてしまうと逆に症状が悪化してしまうこともあるので、できる範囲で仕事をすることもおすすめしています。外で働くことが難しい場合なら、家事を行うこともいいリハビリになります。

家の中のことであれば、多少の融通も利きますし、日課にしていたことができなくなることが、症状悪化のサインにもなり、ご家族も発見しやすくなります。

大事なことはその人らしさを奪わないような生活を送ることです。生きがいを持って生活をすることが、進行を遅らせるためにも非常に大切です。

周囲の人もストレスを抱えないためにできることがあります

若年性認知症の患者さんは、ちょうど働き盛りで社会の第一線で活躍されていたり、小さいお子さんを抱えているなど、ご本人だけでなく、周囲のご家族にも大きな打撃となることが少なくありません。

若年性認知症の場合は、病期が10年以上と長期にわたって進行していきますので、患者さんご本人の負担だけでなく、周囲の方の負担も非常に大きいものとなります。

もし若年性認知症と診断されたら、一人で抱え込まずに、まずは地域の支援センターや東京都若年性認知症総合支援センターなどに相談してみるとよいでしょう。

この機関では、障害手帳や介護保険の手続きなどの社会保障のコーディネートや福祉サービス、地域で利用できるサービスの情報提供や就労支援などを行っています。都内在住でなくても電話での相談も受け付けていますし、患者さん本人ではなく、ご家族の相談にも乗ってくれます。

若年性認知症は、長くつきあっていかなくてはいけない疾患だからこそ、より多くの人に相談をし、できるサービスはどんどん利用して、少しでも負担を軽減できる方法を見つけていくことがとても重要なのです。

(イラストはイメージです)

順天堂大学医学部付属順天堂医院 脳神経内科

住所:東京都文京区本郷3-1-3
電話:03-3813-3111(大代表)
http://www.juntendo-neurology.com
(順天堂大学病院ホームページより)

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