若年性認知症の支援とは?

2019年9月17日

認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)¹⁾では、「若年性認知症施策の強化」を施策の一つとして挙げており、各都道府県や市区町村では、若年性認知症への支援を行っています。
今回は、若年性認知症に対する支援の取り組みについてご紹介します。

この記事の執筆
認知症ねっと
認知症ねっと編集部
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この記事の目次
  1. 若年性認知症とは?
  2. 早期発見・早期治療が大切です
  3. 若年性認知症に対する支援は?
  4. 就労支援サービス
  5. 各都道府県や市区町村での情報提供、相談サービス

若年性認知症とは?

若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症のことを言います。高齢者の認知症と認知症のメカニズムや症状は同じです。 厚生労働省は、平成21年に若年性認知症に対する調査²⁾を行いました。

その結果、若年性認知症の推定発症年齢の平均は51.3±9.8歳(男性51.1±51.9歳、女性51.6±9.6歳)でした。この年代は、働き盛り・家庭での中心的な役割を担う時期です。

若年性認知症と最初に気づかれた症状は、「もの忘れ」が50.0%、「行動の変化」が28.0%、「性格の変化」が12.0%、「言語障害」が10.0% でした。

若年性認知症場合も、その中核の症状は、認知機能が冒されることです。すなわち症状として、以前できていたことができなくなります。すなわち、日常では失敗が多くなった、それもなんでもないことの失敗で「そんな失敗をすることは信じ難い」と思わせるような失敗です。ましてそのような失敗が2度、3度見られたときは認知症を疑ってもよいのかもしれません。

人目を避けるようになるのも特徴かもしれません。部屋に閉じこもったり、会話が少なくなったり、積極的な行動をしなくなることも初期の症状としてよいと思います。おそらく、どこかで、自分の能力が侵されていく事に気づき、それを他人に知られないように努めているのかもしれません。

ユッキー先生の認知症コラム 第38回若い人の認知症より

若年性認知症の場合、年齢が若いため、うつ病などの他の病気と判断されて、診断が遅れてしまう恐れがあります。

一方、認知症以外の病気で、治療により治る可能性がある場合があります。例えば、正常圧水頭症や甲状腺機能低下症、うつ病などです。

早期発見・早期治療が大切です

若年性認知症の方は、働き盛りや家事や育児の中心的存在であることから、「なんか変だな。最近、もの忘れがあるけど疲れているからだろう…。」と気づいていても、日頃の疲れだと思い、受診を先延ばしにする場合があります。すると、診断が遅れてしまい、治療を行うタイミングが遅れてしまう恐れがあります。かかりつけ医や産業医へ早期に受診を行い、適切な治療を受けることで認知症の進行を遅らせる場合があります。

当初は、受診を拒むご本人が多いようです。まずは、いつも傍にいるご家族が受診を勧めてください。本人には、上記の日常で気づいた異常な行動について、丁寧に説明してください。

私の経験では、若年性の場合には比較的配偶者の指示に従う人が多いように思います。また、本人も自分の異常に内心気づいているので、うそ、偽り無く、きちんとご本人の眼をみて、受診を勧めてください。

「ちょっと健康診断を受けましょう」などの曖昧な表現ではなく、はっきりと「最近のあなたは、以前と違い、失敗が多い、物忘れが激しい。私が心配だから是非診てもらってほしい。私も一緒に病院に行きますよ」と説得してください。そこで重要なのは、親身になって説得することです。

最初は、かかりつけ医を受診してください。もし、かかりつけ医がいない場合は、精神科、神経科、神経内科、脳神経外科を標榜している診療所や病院を受診してください。診断が明らかにならないときは、近くの大学病院や特定機能病院に紹介してくれます。

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若年性認知症に対する支援は?

就労支援サービス

若年性認知症と診断を受けると、退職をするケースが80~90%を占めている³⁾と言われています。また、若年性認知症発症後7割が「収入が減った」²⁾と回答しています。

しかし、若年性認知症が発症したからといって、介護保険を活用して明日からデイサービスへ通う…という生活も急激な変化ではないでしょうか。若年性認知症であっても就労する支援サービスがあります。

若年性認知症と診断された場合、精神障害者保健福祉手帳の交付の対象となります。(ただし、若年性認知症は人それぞれ症状や状態が異なるため、申請すれば必ず交付されるとは限りません。)

若年性認知症と診断されても今の職場でできる限り働きたい、障害者雇用に関する相談や支援は、ハローワーク(公共職業安定所) や地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどが連携して就職から職場で定着するまでの支援を行います。

具体的には、就労継続支援A型事業所(雇用契約があり、最低賃金が保障される)、就労継続支援B型事業所(雇用契約がなく、工賃が支給される)、就労移行支援事業所(再就職を目標に一定期間の訓練をうける場所)などが利用して、社会参加を続けることができます。

各都道府県や市区町村での情報提供、相談サービス

認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)¹⁾では、「若年性認知症施策の強化」のために各都道府県や市区町村で若年性認知症への支援を行っています。各都道府県では、ホームページや若年性認知症に関するハンドブックやリーフレットを作成して若年性認知症に対する情報の提供、相談窓口の紹介、受診する医療機関の紹介などを行っています。特に、認知症コールセンターが各都道府県に設置され、若年性認知症支援コーディネーターが相談を受けます。気になることや相談したいことがある場合は、大いに活用しましょう。



参考文献:1)厚生労働省 “認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)”(2019年8月1日アクセス)
2)厚生労働省 “若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について”(2019年8月1日アクセス)
3)独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 “若年性認知症を発症した人の就労継続のために”(2019年8月1日アクセス)


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