「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」とは?7つの柱を徹底解説

高齢者の増加に伴い、認知症への対策も急務となっている現在、その指針となる戦略が厚生労働省の認知症施策「新オレンジプラン」です。認知症ねっと内にも、あちこちで目にする施策ですが、実際にどのようなものなのでしょうか。簡単にまとめてみました。

この記事の執筆
認知症ねっと
認知症ねっと編集部
認知症ねっと
この記事の目次
  1. 新オレンジプランとは
  2. 7つの柱
  3. 1.認知症への理解を深める為の普及・啓発の推進
  4. 2.認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
  5. 3.若年性認知症施策の強化
  6. 4.認知症の人の介護者への支援
  7. 5.認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
  8. 6.認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーション、介護モデルなどの研究開発及びその成果の普及の推進
  9. 7.認知症の人やその家族の視点の重視
  10. 2017年7月の改定で目標設定がより具体的に
  11. 最後に

新オレンジプランとは

「認知症の人の意思が尊重され、出来る限り住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らしを続けることが出来る社会を実現する」ことを目的に、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて策定されました。正式には認知症施策推進総合戦略といいます。

認知症の人は2025年には約700万人にのぼると言われており、環境整備は重要なポイント。認知症高齢者にやさしい地域づくりに向けて、認知症という病気に対する啓蒙も含め、医療・介護・介護予防・住まい・生活支援を包括的にケアするための戦略です。

7つの柱

新オレンジプランの中核である「7つの柱」を紹介していきます。

1.認知症への理解を深める為の普及・啓発の推進

社会全体で認知症の人を支える基盤として、認知症について正しく理解し、身近な病気であることを実感しましょうという内容です。

当事者の方による情報発信など、認知症の人の視点に立って認知症への社会の理解を深めるキャンペーンを実施

認知症についての知識を身につけ、対応できる「認知症サポーター」の育成やその活動の支援

認知症の中核症状を体験できるVR認知症とは?認知症ねっと編集部による体験レポートはこちら

2.認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供

認知症は進行性の疾患であり、発症すれば一生つきあっていく必要があります。そのため、医療の現場、介護の現場など、それぞれ分断された個別の対応ではなく、進行状態に合わせてその時々の容態に最適な対応が受けられる環境が必要です。

発症の予防から人生の最終段階まで、医療・介護だけでなく、地域や関係機関との有機的な連携を図り、適切なサービスを提供できる循環型の仕組み構築を目指します。具体的には以下などが挙がっています。

早期診断・早期対応の体制整備

→早い段階から支援するための「認知症初期集中支援チーム」や地域の医療や介護を連携させる「認知症地域支援推進員」を全国に設置

BPSDや身体合併症などへの対応

生活を支える介護

人生の最終段階を支える医療・介護の連携

認知症ケアパスの積極活用

3.若年性認知症施策の強化

認知症は高齢者がかかるものとは限りません。働き盛りに発症した場合、仕事や子供の養育費など、経済的な問題も大きいでしょう。そんな若年性認知症に対し、認知深耕のハンドブックを配布するほか、就労支援や居場所づくりなど、社会参加を支援します。

ユッキー先生の認知症コラム:若年性アルツハイマーはどのように診断されるのか 【順天堂大学 本井先生インタビュー】65歳以下で発症する若年性認知症とは

4.認知症の人の介護者への支援

当事者への支援はもちろん、介護者へのサポートも忘れてはいけません。その負担の大きさは当サイトに寄せられた相談を見ても明らかです。この項目では介護者の負担軽減や生活と介護の両立を目指します。

初期段階の負担軽減のための「認知症初期集中支援チーム」などによる対応や、家族向けの認知症介護教室の普及なども含まれ、情報共有や憩いの場としての「認知症カフェ」も推進されています。

介護と仕事の両立が難しくなったら ユッキー先生の認知症コラム:誰が認知症の人を看るの?

5.認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進

認知症のあるなしに関らず、高齢者が暮らしやすい社会を目指し、ハード面・ソフト面を整備・サポートします。行政だけでなく、企業や支援機関等の活動によって「生活支援」「環境整備」「就労・社会参加支援」「安全確保」を目指します。

具体的には、以下のような項目が挙がっています。

食事や買い物などの生活支援

住まいの確保やバリアフリー化の推進

地域活動など社会参加の促進

見守り体制の整備  など

6.認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーション、介護モデルなどの研究開発及びその成果の普及の推進

認知症のメカニズムを解明を進め、研究開発を推進。また、そのために欠かせない「コホート研究」を展開するために、当事者の研究参加を促すような仕組みを構築します。

そのほか、ロボット技術やICT技術を活用した介護支援機器や安全確保など、予防から治療、介護まで、高品質な対応を目指す項目です。

広川先生のMCIコラム:早く気づけば認知症にならない!?~実際にあった早期発見の事例

7.認知症の人やその家族の視点の重視

認知症の人が「住み慣れた環境で自分らしく暮らし続ける」ために、必要と感じることなどの実態調査を推進。当事者やその家族の視点を重視した取り組みを進めます。

認知症への社会の理解を深めるキャンペーン

認知症の人のニーズ把握や生きがいづくりを支援

当事者や家族視点での施策を実現するための、事例収集や方法論の研究

2017年7月の改定で目標設定がより具体的に

2017年7月5日、「新オレンジプラン」の改定が発表されました。この改定は主に、これまで2017年度末を目標として数値が設定されていたところを、新たな目標設定年度として2020年度末を定め、数値目標の変更やより具体的な施策が提示されました。

新オレンジプラン改定のポイントを認知症ねっと編集部が解説!

最後に

「認知症の人が自分らしく暮らし続けることができる社会」の実現は、行政の力だけで成せるものではありません。上記の「7つの柱」は、医療従事者であったり、地域であったり、個人であったり、対象者がさまざま。つまり、企業や団体、地域住民などが、各々の立場で役割を果たすことが求められているのです。


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