認知症の予防と治療:⑤認知症の予防

1. 認知症は予防できるの?

認知症の予防はその原因によって異なります。

認知症を確実に予防する有効な方法や予防薬はまだありません。スウェーデンの研究で社会的つながりによる他者との交流が脳の機能を刺激する事により、脳の機能低下を食い止めるという結果が出ています。他にも、脳の機能が最初に落ちる機能(エピソード記憶と実行機能)を集中的に使いその代償機能を発達させることは有効だと考えられます。この部分は脳の前頭前野ですので、運動などの有酸素運動は前頭葉の血流を良くする働きもあるので、心身ともに活動する事がいいでしょう。

ただ、中年期に生活習慣病となっていた人は認知症になる可能性が高いので、現在高血圧や高脂血症などを持つならこれを治療する事が予防に役立つかもしれません。また、脳血管障害、ビタミン欠乏症、甲状腺機能低下症のような原因がはっきりしている認知症はある程度の予防は可能です。

2. 認知症の予防に役立つ日常の心がけは?

予防可能な認知症で頻度が高いのが脳血管性認知症です。

したがって日常生活において心がける事と言えば、脳血管性障害の原因である脳梗塞等の危険因子となる高血圧、高脂血症、肥満等にならないようにする事です。塩分や脂肪分のとりすぎに注意し、適度な運動をするように心がけましょう。

3. 認知症の予防によい食事はあるの?

認知症の原因はさまざまで、認知症予防の為の特別な食事はありません。

ただし、脳血管性認知症においては危険因子である高血圧にならない事が予防につながる為、塩分を控え目にした食事が良いと言えるでしょう。また、糖尿病やビタミン欠乏症も認知症の原因になる場合があります。健康を維持する為にもバランスの取れた食事を心がけましょう。

4. 趣味やスポーツで認知症予防が可能か?

趣味やスポーツの中で特に認知症の予防に役立つというものはありません。

しかし、心身の健康を維持する事が老化を防ぎ結果的に認知症の予防につながるという観点からみると、趣味は一人で行なうものより、仲間をつくれるものや社会参加ができるものが良いでしょう。また、スポーツは筋肉を増強する無酸素運動を伴う激しいスポーツより、集団で行なうものでエアロビクスのような有酸素運動的なものが良いでしょう。

5. 脳血管性認知症で歩行障害があります。認知症を進行させないためには?

脳血管性認知症の原因は主に脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の三つですが、特にその危険因子となるのが高血圧です。

したがって高血圧の予防もしくは治療をする事は脳血管性認知症の予防にもなります。また、歩行障害については理学療法及び作業療法のリハビリテーションが有効でしょう。

6. 定年退職がきっかけで認知症になる事が多いと聞いたが本当?

老年期に入って見られる生活上の変化には次のようなものがあります。

(1)健康状態が悪化する、(2)経済的基盤を失う、(3)社会的交流が少なくなる、(4)生きがいがなくなる等です。これらの事が定年退職をきっかけに始まり、その結果抑うつ的になったり、無気力になったりします。しかし、認知症は神経細胞が壊れる事が直接的原因となって、中核症状(記憶障害や失語や失行等)が出てくる病態です。定年退職後、「する事がなくなった」と考えるのではなく、「これから自分のしたい事ができる」と人生を積極的に捉え生きがいを持って過ごしていきましょう。

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