認知症男性の列車事故裁判でJR東海が720万円の損害賠償を要求

2016年2月4日

JR東海は720万円の損害賠償を要求

2月2日最高裁判所において、平成19年におきた認知症男性の列車事故に対する弁論が開かれた。遺族に監督責任を問うJR東海側と、遺族に認知症男性の責任を問うのは不当とする遺族側がともに上告し、最高裁では双方の弁論がおこなわれた。

当時、愛知県大府市のJR共和駅構内で、徘徊していた91歳の認知症男性が線路におり、電車にはねられて亡くなるという事故がおきた。JR東海は、電車の遅延損害金など約720万円の損害賠償を求めて、遺族側を提訴した。

2審では同居する妻にのみ支払いを命じる

1審では、同居していた当時85歳の妻と、離れて住んでいた長男に対し、男性の徘徊を阻止し事故を防止する責任があったとして、720万円の支払いを命じた。遺族側は控訴。2審では、別居している長男の責任は問わず、同居する妻に対し約360万円の支払いが命じられた。

全国で500万人といわれる認知症患者。自宅介護をする家族にとって、事故の責任を問われることとなった今回の経緯は重い意味をもつ。同居する家族にとって、一瞬の気の緩みも許されない介護を毎日続けることは、不可能に近い。最高裁で家族に責任ありとの判決が下れば、「認知症の人の尊厳」どころか、「監禁」に近い状態を強いる事態になりかねない。

3月1日に最高裁判決

JR東海側は、

「認知症患者が損害を与えたときに、被害者に泣き寝入りを強いるのでは、認知症患者が社会から危険視される」(FNNニュースより)

として、遺族側に責任があることの正当性を訴えた。

一方遺族側の長男は、

「1審と2審の判決は、認知症の人と家族にとってあってはならない内容で、この判決を残してはならないという思いで裁判を続けてきました。最高裁判所には、認知症の人たちの実情や社会の流れを理解し、思いやりのある温かい判決をお願いします」(NHKニュースより)

とのコメントを出した。

認知症患者の介護をめぐる裁判として、どこまで家族が責任を問われるのか、3月1日に最高裁から下される判決は、介護する家族、介護関係者をはじめ多くの人々の注目するところだ。

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