発症から診断まで:③認知症の種類と特徴
- この記事の目次
認知症の種類は?
認知症の種類は、大きく分けて3種類と言われています。
最も患者数が多いのは、アルツハイマー型認知症です。次に脳血管障害(脳卒中)により起こる脳血管性認知症です。次いで、レビー小体型認知症です。
認知症の種類アルツハイマー型認知症とは?
アルツハイマー型認知症は、脳の中にアミロイドβというたんぱく質が溜まり、正常な神経細胞を壊して脳を萎縮させます。脳の萎縮は徐々に進行し、短期記憶を司る海馬(かいば)という部分が障害されると、体験したことを忘れてしまう記憶障害が起こります。さらに、進行すると時間や季節、場所などの認識ができなくなります。徐々に進行し、治癒することがありません。本人に自覚が乏しく、年齢とともに症状が進行します。
65歳未満で発症した認知症を若年性認知症と言います。
若年性認知症(若年性アルツハイマー)とは|初期症状・予防法などアルツハイマー型認知症の原因は?
脳の神経細胞のまわりにアミロイドβという異常なたんぱく質が溜まることによって脳が萎縮します。アミロイドβからなる塊を老人斑と言います。また、神経線維の束(神経原繊維変化)が脳神経細胞の中にある微細管をつないでいるタウたんぱくがリン酸化して絡み合います。その結果、これが脳全体に溜まることで正常な神経細胞が機能しなくなり、脳萎縮が起こる病気です。
アルツハイマー型認知症の症状の進行は?
大きく3期に分けられます。
【初期】
*新しいことが覚えられなくなる。
*同じ質問を繰り返す。
*道に迷う。
*ものを失くしたり、置き忘れたりすることが増える。
*年月日の感覚が不確かになる。
*判断力や自発性が低下する。
*身だしなみが無頓着になる。
*人格が変わったようにみえる。
*今まで続けていた趣味やニュースなどに興味が無くなる。
もの忘れが中心で不安やうつ状態などがみられますが、身のまわりの日常生活は自立できます。
【中期】
*家族や知人の認識が乏しくなる。
*新しいことだけでなく、古い記憶も忘れ、記憶障害が悪化する。
*失禁が増える。
*着替えや家事の段取り、家電の取り扱いが分からなくなる。(失行・失認)
*家の周りの認識ができなくなる。徘徊が増える。
*幻覚や妄想の症状が現れる。
*日常生活で介助が必要になる。
【後期】
*コミュニケーションがとれなくなる。
*表情が乏しくなる。
*水分や食べ物の飲み込みができなくなる(嚥下障害)。
*身体機能が低下し、歩行障害などが起こり、寝たきりの状態になる。
*排せつがひとりでできなくなる。
アルツハイマー型認知症を発症する危険因子は?
①年齢
②遺伝・家族歴(家族にアルツハイマー型認知症の人がいる)
③食生活
④運動不足
⑤高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満など
脳血管性認知症とは?
脳血管性認知症とは、脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、脳の血管が破れて出血したり(脳出血)することで起こる認知症のことです。脳血管障害の起きた部位によって症状のみられ方は異なります。そのため、できることとできないことが混在する「まだら認知症」と呼ばれる状態になります。
主な症状として、歩行障害、手足の麻痺、呂律が回りにくい、転びやすい、排尿障害(頻尿、尿失禁など)、抑うつ、感情失禁(感情のコントロールが難しくなり、泣いたり、怒ったりする)などの症状が早期からみられる場合もあります。
脳血管性認知症の原因は?
脳梗塞や脳出血により脳血管性認知症が起こります。しかし、脳梗塞や脳出血など脳血管障害を起こす原因となるのが、生活習慣病です。生活習慣病とは、食事、運動、喫煙、飲酒などの日常生活習慣により病気の発症に関係する症候群のことです。
生活習慣病の引き金となる病気は、糖尿病、動脈硬化、高血圧、肥満、脂質異常症、循環器病などです。そのため、脳血管障害を予防するためには、生活習慣を見直すことが重要です。
脳血管性認知症はどのような経過をたどるのか?
脳血管性認知症は、脳血管障害を再発するたびに、認知症症状も進行します。しかし、脳血管障害を起こしても、早期から治療やリハビリテーションを続けることにより、症状の改善や脳血管障害の再発を予防できる場合があります。
また、ラクナ梗塞は、脳の細い血管が詰まったり、出血することで起こる脳血管障害です。細い血管であるため、症状がみられにくく、自覚症状もない場合があります。その結果、気づかないうちに多発している場合もあり、多発ラクナ梗塞性認知症が起こる場合もあります。
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