嗅覚を刺激して認知症予防!「においと認知症」の最新研究成果[PR]

2016年5月23日
認知機能の低下イメージ

膨大な認知症の社会的費用

2013年6月、厚生労働省の研究班により認知症高齢者は462万人、認知症予備群は400万人に上ると発表された。認知症の社会的費用は、年間約14.5兆円に上る可能性があるとしている。(慶應義塾大学医学部と厚生労働科学研究の共同研究グループの推計より)

平成28年度の防衛関係費が約4.9兆円であることと比べると、その膨大さが実感できる。社会費用の削減という観点からも認知症を予防することは最重要課題の一つと言える。

嗅神経への刺激で認知症予防

最近テレビや雑誌などで、「認知症予防」を取り上げる企画が増えており、視聴者や読者の注目度が高いことと同時に、いよいよ認知症が「予防」できる時代になったことを表している。

歩きながら頭のトレーニングを行う「マルチタスク」や、過去の記憶を引き出す「回想療法」、「音楽療法」「地中海料理」「赤ワイン」、など、メディアで取り上げられる予防方法は多岐に渡る。

そんな中、2014年の2月に民放のとある番組で面白い認知症予防法が紹介された。アルツハイマー型認知症では、海馬が萎縮することにより記憶障害が起きるが、海馬の萎縮より前に嗅神経の機能が低下するという特徴を捉え、アロマの香りで嗅神経を刺激することで認知症を予防するというものだ。

鳥取大学医学部で認知症の専門医として認知症の研究に取り組み、日本認知症予防学会理事長を務める浦上克哉教授によると、においの情報は嗅神経を通じて大脳辺縁系に伝達される。記憶を司る海馬(かいば)も大脳辺縁系の領域の一つで、嗅神経と直結する関係にあるという。

これまで神経細胞は再生しないと言われていたが、近年の研究から嗅神経と海馬には再生能力があることが分かり、特に再生能力が高い嗅神経を効果的に刺激することで、嗅神経細胞が再生し、その刺激は海馬にも伝わり、海馬や周囲の神経細胞の働きが活性化されるということだ。

浦上教授は、アルツハイマー型認知症(AD)の患者が腐った臭いを気にしないことに気づいたことをきっかけに、認知症と嗅覚(きゅうかく)機能の関係に注目し、この分野での研究を進めてこれらの事実を掴んだ。

嗅神経と海馬は脳内でつながっている

また、浦上教授の研究室では、嗅覚を刺激することによって脳を刺激する手段として、ヨーロッパなどでは既に広く親しまれていることや、安全性の面でも実績があったアロマを選択し、さまざまな特性を持つアロマオイルの組み合わせ(配合)で研究が進められた。

最終的にある香りを用いて、認知症の患者を対象にこの研究を実施したところ、アルツハイマー型認知症(AD)の患者において、全てではないものの、一部の評価指標に改善が認められた。特に、軽度から中等度のアルツハイマー型認知症患者の改善が見られた。

アロマテラピーによるGBSスコアの変化

※GBSスコア(老年期痴呆行動評価尺度)

一日の生体リズムを整えるアロマテラピー

また、アルツハイマー型認知症(AD)患者は昼夜が逆転している場合も多い。アロマにはサーカデイアンリズム(一日の生体リズム)を、自律神経の作用に基づいて整え、起床後は交感神経を優位にして脳を活性化させ、就寝前は副交感神経を優位にして、活性化された脳を鎮めリラックスさせるという効果もある。

浦上教授の研究では、オーガニック栽培の原料によるアロマオイル4種のうち、2種ずつをブレンドし、生活リズムに着目した昼用(ローズマリーカンファー、レモン)、夜用(真正ラベンダー、スィートオレンジ)という組み合わせが使用された。

このアロマオイルは、心地よい香りとなるよう配合を工夫し、現在浦上教授の外来や老人ホームなどで認知症や軽度認知障害(MCI)の方々に使用されている。

利用者からは一定期間継続して使用することで「忘れても思いだせるようになった」と記憶の改善や、「意欲が出てきた」など、使用者の実感を聞くことができているという。

さらに症状が進行した高度のアルツハイマー型認知症患者に対しても同様に実施したところ、認知機能を評価する一部の指標で効用が見られ始めているという。

Friends eating at dinner party

※TDAS(タッチパネル式ADAS(アルツハイマー病評価スケール))

アロマという生活に取り入れやすいテーマの認知症予防法。運動や特別な機器を必要とせず、気軽に始めることができ、長く続けやすいため、ぜひ生活に取り入れていきたい。

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参考文献:「大学におけるアロマテラピーの取り組みとその現状 鳥取大学」(aromatopia No.123(2014))
文責:認知症予防専門士 中村 拓司

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