認知症記憶訓練の実証実験結果を公開

2016年1月29日

韓国作業療法学科の研究グループ

韓国の極東大学、建陽大学の作業療法学科を中心とした研究グループが、認知症患者のリハビリテーションにおいて、記憶訓練がどのような影響をもたらすかについて検証実験をおこなった。

SRT訓練とEL訓練

実験は、間隔を空けて思い出す訓練(SRT:spaced retrieval training)と、誤りを取り除くことを学ぶ訓練(EL:errorless learning)の2つの方法を組み合わせておこなわれた。

脳血管性認知症(VD)、またはアルツハイマー病(AD)の症状をもつ韓国人患者29人を対象として、SRT訓練とEL訓練が毎日30分、5週間にわたっておこなわれた。実験の最初と最後には、認知機能評価テストを実施し、神経心理学的な変化および日常的活動における変化について検証がなされた。

脳血管性認知症の患者に効果あり

その結果、SRT訓練とEL訓練をうけた脳血管性認知症の患者については、ほとんどの項目においてスコアの改善が見られた。しかし同じくSRT訓練とEL訓練をうけたアルツハイマー病患者のスコアでは、良好な変化は見られなかった。

今回の研究では、SRT訓練とEL訓練が全員におこなわれたため、思い出す訓練と間違いを取り除く訓練による改善効果の差異は、検証できなかった。

今後は、脳血管性認知症とアルツハイマー病における効果の違いや、SRT訓練・EL訓練それぞれの効果などがさらに明確となる研究が期待されている。

(画像はイメージです)

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▼外部リンク
Effects of spaced retrieval training with errorless learning in the rehabilitation of patients with dementia.[pdf]
PubMed


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