第4回 認知症患者のための理想的な地域連携とは

2015年12月29日

今回は東京大学医学部附属病院 神経内科 特別外来 メモリークリニックでアルツハイマー病(AD)やレビー小体病、前頭側頭葉型萎縮症等の疾患の診断、治療に当たっていらっしゃる岩田淳先生にインタビューさせていただきました。

岩田先生は認知症の診断・治療だけではなく、臨床研究も行っておりますので、認知症の研究も含めた幅広い内容をお伺いさせていただきました。全9回でお送りいたします。

岩田先生のインタビューを第1回から読む
話し手
東京大学大学院 特任准教授
東京大学大学院 特任准教授
岩田淳先生

第4回 認知症患者のための理想的な地域連携とは

長期間にわたる認知症での通院。できるだけ住み慣れた街の病院に通いたいものです。そこで重要となってくるのが、医師同士が情報を交換できる地域の連携。

しかし、そこには問題点もあります。岩田ドクターに、医師の視点からの理想的な地域連携の仕組みや、問題となってくる部分についてお話しいただきました。

地域ごとに医師を見つけられる仕組みづくりを

―― 認知症患者がよりよい治療を受けるためには、医師同士の連携が大切になるかと思いますが、どういった仕組み作りが大切だとお考えですか?

私たちがつくりたいと思っているのは、患者さんの紹介のしくみです。例えば、岩田の所にこういう患者さんがいて、住んでいるのはここで、このような病気ですが、通えなくなってきているので、診てくれませんかという依頼が私からできて、「じゃあ、私が診ます」ということで、地域の医者に名乗り出ていただいて、その代りに「肺炎とかを起こしたら、診てくれますか?」とご質問を頂いて、私から「もちろんです」というようなやりとりができるといいですよねということを、開業の先生たちと時々話します。

そういうふうにしないと、お互い顔を知っている先生には気軽に患者さんをお願いできますが、私もそれほど顔が広いわけではないので、地域ごとにご紹介出来る先生が欲しいわけですよね。認知症診療に御興味があって在宅もやっておられる先生で、そういうことを求めていらっしゃる方が実際におられますよね。

在宅で診ているのだけれど、悪くなった場合はどこで診てもらえるのか、不安をもって診ているとおっしゃっています。そういう先生とのやりとりは今は個人的なつながりでやっていますが、もっと広く繋がって医療を展開できないかといつも思っています。

―― そうすると、患者さんの情報をやり取りすることになりますね。

そこが難しい問題です。逆に会員制にして、患者さんに入って頂いて、自ら情報を出してもらう形にしないと個人情報の保護という観点からは問題になりますね。

―― 基準をOKした方々に対して、そういったサービスを提供するということですね。

それか仮想ホスピタルみたいな形にして、メンバーの先生方に東大にあるサーバにアクセスしてといった形でしょうか。構想としては大きくなりますね。

―― 実際に動いてらっしゃる案件というのはありますか?

東大COI拠点で開発を進めているプロジェクトは少し近い話ですね。詳細はまだ発表出来ませんが。また、開業の先生に利用して頂くところまでには計画広がっていないけれど、いずれできたらいいねという提案はしています。

東京都外の場合、どこにどのような先生がおられるか、よくわからないことが多いですよね。東大は埼玉県からの患者さんも多いのですが、埼玉県は人口が多いわりに日本全国で一番医師が少ない県ですから、みなさん大変なのです。埼玉県の北部からも、多くの方が東大病院に受診されます。

そこで長い目で見たら地元の先生にかかられるのが良いですよと申し上げて近くの病院を紹介すると、すごく喜ばれます。「この先生を知っているからどう?」というと、「今まで探していたんだけれど、全然わからなかった。ありがとうございます」といって、喜んで地元の先生にかかられるのですね。

―― かかりつけ医で診た後に、普段から連携されている病院があって、気軽に送れるような地域連携があればすごくいいですよね。

その通りです。理想とする形としてはこうです。患者さんに記憶障害の自覚があり、地域のかかりつけ医の所にまず行きます。このうち、「あなたの記憶障害の程度は正常範囲だから、このまま観察で大丈夫です」もしくは、「ちょっとおかしいから、専門の病院に行きなさい」のどちらかを地域の先生が見極めてくれます。

地域の先生から患者さんが大きな病院に送られてきたら、その病気がアルツハイマーなのかレビーなのか、はたまたそれ以外なのかということを見極めて、「アルツハイマーだから、こういうことをして下さい」「レビーだから、こういうことをして下さい」「それ以外だから、こういうことをして下さい」と治療方針を決めたうえで、それぞれ地域へお帰し、一部の患者さんについては「わからないから、しばらく私の所で診ます」という連携がとれると良いと思います。

力不足で申し訳ないのですが、私のところで地域の認知症の方を全て抱えるわけにはいかないし、難しい症例も含めて地域の先生方が全て抱えるわけにもいかないですから、お互いを上手く使っていくという連携ができると、良いと思います。

第5回 「専門外来「メモリークリニック」での取り組み」に続く 岩田淳先生の他のインタビューを見る

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