埼玉県で若年性認知症の人の実態調査を発表しました

2020年4月15日


埼玉県では、若年性認知症の人の生活の実態を把握した調査を行いました。どのような結果でしょうか。

今回は、埼玉県で行われた若年性認知症の実態調査の結果をご説明します。

この記事の執筆
認知症ねっと
認知症ねっと編集部
認知症ねっと

アンケート結果からわかる背景

埼玉県では、令和元年7月から12月まで医療機関などの関係機関5182事業所を通じて、若年性認知症の人がいるかアンケート調査を行いました(一次調査)。一次調査で若年性認知症がいると回答があった460事業所を通じて、若年性認知症の本人・家族985人に対してアンケート調査を行いました。また、事業所担当者にもアンケート調査を実施しました。

アンケートの結果を以下の通りでした。

1.背景
人数は999人、男性が50.9%、女性が48.7%でした。

2.発症してからの期間別の人数
「1~5年」が48.2%、「6~10年」が28.5%でした。
最初に受診した時期(発症してから初回受診までの期間)は、1か月未満が48.2%、1~3か月未満が14.4%、3~6か月未満が12.9%でした。

3.認知症に気づいた年齢・人
認知症に気づいた年齢は、「55~59歳」が32.9%、「60~64歳」が27.3%、「50~54歳」が13.0%でした。
最初に気づいた人は、「配偶者」が48.9%、「子」が25.5%、「職場の仲間・上司」が14.7%でした。

4.就業の状況 アンケートの回答時点で、仕事に就いている方は5.7%、仕事に就いていない方は85.2%(ただし、発症時点で就業していない方も含む)、発症時に就業していた方は51.1%でした。

仕事に就いている方は、「障害者就労継続支援A・B」、「いったん退職し別会社に就職した」「今まで通りの職場」「休職中」でした。
若年性認知症発症後に「自ら退職した」「解雇された」「自営業を廃業した」を合わせると67.8%でした。

5.BPSD(認知症の行動・心理症状)
BPSDが「ある」人が64.1%、「ない」人が33.0%でした。具体的な症状は、「不安・焦燥」、「介護への抵抗」、「徘徊」(複数回答)でした。

6.要介護認定
「要介護5」が22.0%、「要介護2」が16.3%、「要介護4」が13.4%でした。一方で、「申請していない」人は11.0%でした。

7.利用できる制度の情報 精神障害者保険福祉手帳について45.5%の方が申請していませんでした。その理由として、「制度について知らなかった」が61.0%でした。
また、自立支援医療制度については約7割、障害者年金制度については約8割の方が利用していませんでした。

その理由として、本人・家族からのアンケートの記述から「診断後ある程度時間がたってから、利用できたはずのサービスがあったことを知った」という方がいらっしゃいました。
また、若年性認知症支援コーディネーターへの相談について、「相談したことがある」17.7%、「コーディネーターを知らなかった」が68.4%でした。

8.「大変なこと、困っていること」
「今、一番困っていることは何ですか。また困っていることなど」の質問に対して、157件の記述回答がありました。
具体的には「サービスや在宅介護」、「経済的なこと」「病気の進行」「相談相手・情報」に関する記述がありました。

9.「活用した支援制度のうち、役に立ったもの」
役に立ったものとして、「訪問看護」「介護保険」「オレンジカフェ」「地域包括支援センター」「自立支援医療」「家族会」に関する記述がありました。

10.「今後できたらよい支援制度」
「若年性認知症専門の施設(デイケア・デイサービス・ショートステイ)」「有料道路・JRの割引」「若年性認知症に特化した相談」「(職場に言いにくいので」休日相談窓口支援」などがありました。

若年性認知症は、年齢が若いため、経済的な負担や家族の介護負担が大きいです。今回の調査結果から、今後の若年性認知症の人へのさらなるケアや制度の必要性が明らかになったと言えます。

>>若い人の認知症
>>若年性アルツハイマー病の診断



出典:1)埼玉県.若年性認知症に関する取組について(2020年4月13日アクセス)

【この記事を読んだ方へのおすすめ記事】

このページの
上へ戻る