改正道交法いよいよスタート!認知症に関るポイントとは?

2017年3月8日

改正道路交通法が3月12日、ついに施行されます。主な改正点は準中型免許の新設と高齢運転者対策の強化。認知症ねっとでは、そのうち高齢者の自動車運転に関る部分に焦点を当て、たびたびお伝えしてきました。

認知機能の低下が高齢運転者による自動車事故に大きな影響を及ぼしている現状から、認知症対策・危険運転者対策として講習や検査が新たに整備されました。
今までの記事を振り返りながら、ポイントを復習してみましょう。

背景となる高齢者運転の実態

75歳以上の高齢者による運転死亡事故の割合は、この10年でほぼ2倍に増加しています。 高齢になっても元気な方もいらっしゃいますが、運動能力や判断能力の低下は老化によって起きるもの。認知症と診断されていなくとも、認知機能の低下が自動車事故を招いている現状を直視しなければなりません。高齢者は免許取得から年数を経たベテランドライバーも多く、自覚できないこともありますが、実際に起きている高速道路の逆走なども認知機能低下が原因と考えられています。

以下の記事では、高齢ドライバー・認知症ドライバーが起こしやすい事故のほか、運転能力低下の要因についても、詳しく説明しています。

【シリーズ改正道路交通法:1】高齢者・認知症患者の運転の実態
こちらにも注目!「認知機能は50歳から低下」 運転時認知障害早期発見リスト30

法改正のポイント

今回の改正で、高齢者に関連する大きなポイントは主に以下となります。

●3年に1度の免許更新時だけでなく、一定の違反行為があった場合は認知機能検査を受ける
●検査の結果「認知症のおそれあり」(第1分類)となった場合、臨時適性検査(専門医の診断)を受けるか、主治医などの診断書の提出が必要
→第一分類になると、違反の有無に関らず、全員が受診の必要あり。
●「認知症のおそれあり」(第一分類)「認知機能低下のおそれあり」(第二分類)となった場合、高度化された3時間の高齢者講習の受講が必要
「認知症のおそれなし(第三分類)」の場合は、合理化された2時間の高齢者講習を受講

今回の法改正では、認知症と診断された場合だけでなく、第一分類とされた際に義務付けられる認知機能検査や高齢者講習を受検しなかったり、専門医の診断や診断書の提出を拒否することも、免許取り消しの対象となります。 改正ポイントは以下の記事もご参照ください。

【シリーズ改正道路交通法:2】現行制度と改正道路交通法のポイント

ひとつの選択肢として~自主返納

高齢者の安全運転対策が強化された今回の法改正ですが、75歳以上のドライバーにとっては、免許更新時に第一分類になった場合、実際更新に至るまでの手順が増えることとなります。更新時だけでなく、信号無視・安全運転義務違反などの交通違反時においても同様です。

専門医の診断や、高齢者講習などには時間だけでなく実費も必要となり、その結果によっては免許停止になる場合もあります。自分の運転に不安を感じたら、加害者になる前に自主返納も考慮に入れてみてはいかがでしょうか。免許返納の際には免許証のかわりに「運転経歴証明書」が交付されます。

車の運転が生活の一部となっている場合も多く、運転免許証を手放すことは勇気がいりますが、自治体によって、交通系の支援などさまざまなものもあります。詳しくは下記の記事をチェックしてみてください。

【シリーズ改正道路交通法:3】自主返納の促進と返納後の支援


このページの
上へ戻る