認知症の予防と治療:②非薬物療法とは?
非薬物療法とは?
非薬物療法とは、薬を用いないで治療をする方法です。活動や運動を通して、脳の活性化を促すことで、身体機能や認知機能を維持します。また、認知症の人が現時点で持っている力を引き出すように働きかけます。
例えば、昔の思い出や興味関心があること、得意だったことなどは、飽きずに取り組むことができます。いつもなら長時間座ることができない方でも、集中して作業に没頭する場合もあります。
また、昼間活動して起きているため、生活リズムが整います。活動することで心地よい疲労を感じて、夜間の睡眠につながることから、昼夜逆転を予防することができます。
そして、グループで活動することによって参加者とのコミュニケーションを図ったり、ひとつの作品を作り上げる達成感や満足感は肯定的感情につながり、精神的な安定につながります。
回想法とは?
認知症の人は、最近の出来事は忘れてしまう場合がありますが、昔に体験したことや思い出は、よく覚えています。その内容は、懐かしい思い出、楽しい思い出、つらく大変な時期を生き抜いた思い出などを語る場合が多いです。そして、周りで聞いている人たちも同じような体験をしているため、共感しやすく、一体感が生まれます。
昔の家庭用品や電化製品、おもちゃ、写真などを用意して、見たり触れたりしながら、話すと良いでしょう。
認知症のリハビリに回想法リアリティ・オリエンテーション(現実見当識訓練)とは?
見当識とは、時間・場所・人物を認識する能力です。認知症になると、見当識に障害がみられ、見当識障害と言われます。
リアリティ・オリエンテーションでは、自分や家族の名前、今いる場所、季節、日付や時間を正しく理解し、認知能力を維持すると共に、周りの人たちのとのコミュニケーションを深めます。また、周囲に関心を持つことで社会とのつながりを保つことができます。
リアリティ・オリエンテーションでリハビリ音楽療法とは?
音楽療法とは、懐かしい歌や知っている歌を歌ったり、楽器でリズムを取ったり、クラシックを聴きながら、心身のリラックスやストレスの解消につながります。音楽に合わせて身体を動かすことにより運動機能の維持・増進の効果もあります。
認知症のリハビリに音楽療法運動療法(作業療法・理学療法)とは?
運動療法とは、運動をすることで関節を動かしたり、筋肉や筋力の増強を図ったり、寝返りをうつ・起き上がる・座る・立つ・歩くといった基本的な動作を練習します。また、散歩やウォーキング、ラジオ体操など有酸素運動を行います。
身体を動かすことによって、脳の活性化、心肺機能の向上や転倒の予防につながります。そして、日中身体を動かし、心地よい疲れを感じて夜間の睡眠につながります。昼夜逆転の予防にも効果があります。ただし、無理はしないこと、運動の後には十分に水分を摂るようにします。
レクリエーション療法とは?
レクリエーション療法とは、絵画、園芸、ゲーム、陶芸やペットなど自分の好きなことを楽しみながら感情の安定を図ります。得意なことや好きなことに対しては、前向きに取り組むことができます。
参考文献:1)今井幸充 認知症を進ませない生活と介護 法研,平成27年,p24~25
2)朝田隆 まだ間に合う!今すぐ始める認知症予防 講談社,2014,p46~85
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