脳血管性認知症とは

脳血管性認知症とは

患者の多い認知症で、脳の血管障害により起こります

脳血管性認知症は、アルツハイマー型認知症に次いで、患者が多いとされている認知症です。脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの、脳の血管の病気によって、脳の血管が詰まったり出血したりし、脳の細胞に酸素が送られなくなるため、神経細胞が死んでしまい認知症が起こります。認知症そのものではなく、その背景にある脳血管障害を改善する事が重要です。


男性の発症が多く、一進一退を繰り返しながら進行します

男性の方が女性よりも多く発症している認知症です。アルツハイマー型が徐々に進行するのに対して、よくなったり悪くなったりを繰り返し進行します。多発性脳梗塞などで、小さな脳梗塞が何度も起きている場合、脳梗塞が起きる度に症状が悪化していきます。また障害を起こした脳の場所によって、起きる症状が変わってきます。


脳のイメージ図


アルツハイマー型認知症と併発している事があります

かつて脳血管性認知症はアルツハイマー型認知症と対極に存在すると認識されてきました。しかし最近では両方に共通する危険因子が確認されたり、似たような病態をとる事が知られてきており、混合型認知症と言われています。

混合型

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脳血管性認知症の症状の特徴

まだら認知症になりやすい

正常に働いている細胞がある場所はしっかりしていますが、脳梗塞や出血などが起こって細胞が壊れてしまった場所では、機能が低下してしまいます。このため、アルツハイマー型と同じ様に、物忘れや計算が出来なくても、判断力の低下は見られないなど、まだら認知と言われる状態が起こります。

また意欲もなくボーっとしていて何も出来ない時と、はっきりしていて、出来ないと思っていた事がちゃんと出来る場合があります。このような症状は1日の中でも起きる事があるため、介護している家族が、さっきは出来ていたのに今出来ないというのは、ただやらないだけではないかという風に、勘ぐってしまう場合もあります。

>>まだら認知症についてはこちら


感情失禁が起こりやすくなります

感情がコントロール出来なくなるため、すぐに泣いたり怒ったりします。「今日は天気が良くて気持ちがいいね」と聞いただけで、泣いてしまう場合もあり、悲しくなくても落涙する事があります。笑顔が見られ機嫌が良さそうだと思い声をかけたのに、急に怒り出すという事もあります。
またうつ傾向になりやすく、表情が能面のように乏しくなる場合があります。

>>認知症による「うつ・抑うつ」の対応についてはこちら


脳血管障害によって起こる様々な症状があります

服の前後や上下を認識出来なく、前後逆さまに着たりします。また物が何かわかっていてもそれを答えようとすると、言葉が中々出てこない状態になる事があり、話せなくなる場合もあります。
麻痺が無くても、お箸や歯ブラシの使い方がわからなくなり、使えなくなったりします。手元の作業をしていても、近くで声がするとそちらが気になり集中出来ません。
脳血管性認知症の人は、脳梗塞などが再発する事も多く、急に症状が悪化する場合があるので、注意が必要です。


脳血管性認知症の方への対応の仕方

自分が認知症だと理解出来ているため、より配慮が必要です

脳血管性認知症の方は、まだ初期段階の場合、自分が認知症だと理解出来ている事もあります。「これくらい出来ないの?」とか「どうしてわからないの?」などという言葉を投げかけられても、本人はどうする事も出来ません。自分が認知症であり、出来ない事が増えていくというのは、本人にとって大変辛い状況だと理解してください。


出来る時と出来ない時があると理解してください

さっきまで出来ていても今出来なかったり、逆に出来なかった事が出来たりするため、介護者の中には、甘えてやらないだけではないかと思う人がいます。しかし脳血管性認知症の人は、脳の血流の状態で、出来ない時と出来る時があるのです。その事を理解して、出来ない時は出来ないのだと介助してあげてください。


怒りのポイントを掴みましょう

今まで笑顔であったのが急に怒り出すという場合がありますが、本人にとっては理由がある事も多いのです。庭を眺めていたので、調子が良さそうだからとトイレに誘ったら、急に怒り出したといった場合は、トイレ誘導への拒否ではなく、気持ち良い時に声をかけられ、邪魔されたと思ったからかもしれません。本人の怒りのポイントを掴むと、こういう時は様子を見ておこうなど介護をしやすくなります。どんな時によく怒っているか観察してみてください。


患者さんとよく話し合っておきましょう

脳血管性認知症は発症後、生存期間は数年で寝たきりになる事も多いと言われています。終末期は薬物治療よりも介護に重点を充て、精神・身体面のサポートが目標になることが多いです。経管栄養や呼吸補助、心肺蘇生など、本人の意思確認が可能なうちに話し合い、患者さんの意思を知っておくと良いかもしれません。


介護サービスを利用し介護負担の軽減をしましょう

アルツハイマー型に比べると、脳の血管障害により、早くから身体機能が落ちている場合があります。歩行が困難になったり、排尿障害で尿失禁が見られたり、嚥下障害が出る事もあり、介護は認知症だけの症状には留まりません。
ご主人の介護を奥さんや娘さんがするというケースも多く、身体の大きな男性を介護するのは、とても負担の大きなもので、介護者が倒れてしまうという事も少なくありません。そうなる前に、介護サービスなどを利用し、負担を少なくしましょう。負担軽減が介護を長続きさせるコツです。

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脳血管性認知症の予防や症状の改善策

生活習慣を見直しましょう

認知症の背景にある脳梗塞などの疾患にならないように注意をする事が、一番の予防策と言えます。脳梗塞や脳出血などの原因は、生活習慣病によるものが多いとされています。生活習慣病とは、高血圧や脂質異常症や糖尿病などで、運動不足や過食、ストレスなどから起こるものですので、生活習慣の見直しが重要になります。バランスの良い食事をし、散歩でも良いので適度な運動をしましょう。また血糖値が高いと言われている人は、定期的な受診をして糖尿病にならないように注意しましょう。

生活習慣

>>認知症と生活習慣病の関係についてはこちら


リハビリを行いましょう

脳梗塞などのリハビリと同様、脳血管性認知症でもリハビリをして脳を活性化させる事で、症状の進行を緩やかにする事が期待出来ます。音楽を聴く、一緒に歌う事が出来れば歌う、また絵本などを見る、読める場合は読むなど、その人に合ったリハビリが必要です。

言葉が出にくい事を改善しようとするリハビリではなく、楽しむリハビリにしましょう。楽しむ事で脳が活性化します。またお手玉やオセロの石を白から黒から白などに変えるなど、手を使った簡単な作業もよいリハビリになります。自宅では1対1で出来ますが、デイサービスなどでは、大勢でリハビリをする事が多くなります。アルツハイマー型の人は大勢のリハビリでも問題ない場合がありますが、脳血管性の方には少人数、または1対1の対応の方がリハビリを続けてもらえます。


受診を欠かさず、治療を受けてください

脳梗塞などの病気に対する治療を、欠かさないようにしましょう。梗塞が起こった人には、その後も小さな梗塞が起こりやすくなります。その小さな梗塞でも、認知症の症状が悪化してしまう場合がありますので、定期的な受診を欠かす事なく、また何かおかしいと気付けばすぐ受診出来るようにしましょう。いつもより反応が鈍いだけでも、梗塞が起きている場合があります。受診しても問題がなければ、思い過ごしで良かったと思えばよいのです。早く気付いて受診する事が、症状の悪化を防ぎます。

脳血管性認知症に有効と認められた薬があります

現在脳血管性認知症を完治させる治療法は存在しませんが、認知障害や周辺症状を和らげる薬はいくつか存在します。アルツハイマー型認知症によく適用されている薬や抗精神薬が有効だとされる報告がいくつかありますが、患者さんごとにそれぞれ症状が異なるので担当医と相談の上服用することが大切です。



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