データ収集をゲームで認知症研究の新たなかたち
ゲームをプレイするだけで認知症研究に役立てるADVゲーム
平成28年5月14日、プレイするだけで認知症の研究に役立てられるアドベンチャーゲームがあると報じられた。
名前は海洋冒険アドベンチャーゲームSea Hero Questで、開発者はイギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドンと、イースト・アングリア大学そしてイギリスロンドンのゲーム開発会社である、Glitchersらの共同開発である。
ゲームのプレイ記録からプレイヤーのナビゲーション能力を測る
このゲーム自体は、様々な海をフィールドに海面に浮かぶ船を操り新種海洋生物を撮影していくというものだ。
すると一見、何ら変哲のないゲームのようにもとれる。
だが、実はこのゲームには認知症初期においてみられる症状の1つである、ナビゲーション能力を測るための工夫が施されているのだ。
その工夫とは迷路状になっている海路を進むという点、また進むべき方向を判断するため適切なタイミングで照明弾を使わなければならない点、そして写真を撮影するために対象の生物を追跡しなければならないという点だ。
これらを適切に行うには、通ってきた道を一時的に記憶しておく必要がありまた、限られた情報から針路を予測しなければならず、結果ナビゲーション能力を測ることができるというわけである。
そして、これらの能力が現実世界で低下してしまった場合、認知症の初期症状の1つであるいわゆる迷子になってしまうのだ。
情報収集に必要な時間を大幅に短縮
このゲームの研究方法としての意義は、何といっても情報収集に要する時間を大幅に短縮できること、また得られた情報を即可視化できる点にある。
従来行われていた方法では、200人分の情報を収集するために1年を要していたのに対し、今回のゲームを用いた方式ではたった1分で収集が可能となる。
また、プレイ中に辿(たど)った航路等の情報はそのままプレイヤー毎(ごと)のプレイ記録として残るため、ヒートマップといった可視化グラフにしやすい点も魅力の1つだ。
つまり、スマホ向けゲームアプリという手段を執ることで、即研究に反映させることのできるデータを短時間で収集できるというわけである。
そして、これによりナビゲーション能力の低下が加齢による自然なものなのか、はたまた認知症初期なのかを見定める基準とするための分析を行うのだ。
なお、このアプリはAndroid及びiOSともに対応されている。
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2030年には“ゲーム”が認知症予防に推奨? -OGC2015より
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