世界初の認知症治療薬開発に向け大きく前進[神経細胞の死滅を抑制する薬剤を発見]

2015年12月17日

神経細胞死滅抑制の死を抑制する薬剤を発見

国立長寿医療研究センターなどは、世界初の認知症治療薬の開発に向け、脳の神経細胞の死滅を抑制する薬剤を発見したとの研究結果を発表した。

研究チームは、タウの結合を防ぐ化合物が含まれる「イソプロテレノール」に着目。「イソプロテレノール」は、不整脈や気管支ぜんそくの治療に使われる既存薬。「イソプロテレノール」をマウスへ投与した結果、神経細胞の死滅をひきおこす「タウタンパク質」の蓄積が阻害され、神経細胞の死が抑制される高い効果が現れ、脳機能が通常通りに回復したという。

研究チームは、今後この薬剤のヒトへの効果が確認できれば、認知症の進行を抑える世界初の治療薬の開発も期待できるとし、実用化に向けてヒトでの臨床試験を行うことにしている。

(画像はプレスリリースより)

今回の発見内容の要約

・今回の発見は国立長寿医療研究センター、理化学研究所、同志社大学による共同研究によるもの。
・これまでの研究から、神経細胞脱落はタウタンパク質が原因となって引き起こされると考えられてきたが、その相関は明確にわかっていなかった。
・実験により「タウタンパク質の凝集」を阻害する薬剤が、神経細胞脱落の抑制にきわめて高い効果があることを突き止めた。
・共同研究グループは、ドーパミンやアドレナリンのようなカテコール核をもつ薬剤が、タウタンパク質の凝集を阻害することを見出した。
・この結果は、アルツハイマー型認知症に直接関与するタウタンパク質を標的として、その凝集抑制のメカニズムを初めて明らかにした報告となる。

今後への期待

・2013年12月にロンドンで開催されたG8 dementia summitでは、2025年までに認知症治療薬を開発することを目標と宣言。
・今後研究成果のヒトでの効果を確かめることによって、認知症の治療薬開発に大きく貢献するものと考えられる。

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▼外部リンク
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 プレスリリース


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