「介護うつ」 -アルツハイマー病患者の配偶者が抱えるストレス
2015年11月11日

介護する家族のこころの調査
東フィンランド大学の研究チームは、アルツハイマー病(AD)と診断された患者の家族に対し、精神的苦痛に関する長期的な調査をおこなった。
アルツハイマー病患者の介護は、その家族にとって予想以上に大きなストレスとなっている。介護者の心身の負担は、表に出さず、内にため込むことでより深刻となり、「介護うつ」といわれる症状がおこる。
36カ月にわたり評価
今回の研究では、アルツハイマー病患者の介護者236人を対象に、36カ月間にわたる追跡調査をおこなった。調査は、ストレスやうつ症状などに関し、一般的な健康調査票(GHQ)を用いて評価した。
AD患者とその家族の抑うつ症状は、開始時および1年ごとに調査をおこない、その測定値を比較評価した。その結果、AD患者の抑うつ症状の値よりも、AD患者配偶者の値のほうが有意に高かった。また介護開始時からうつ症状であった配偶者は、配偶者以外の家族よりも、観察期間を通して重い苦痛を抱えていた。
とくに配偶者の心理的苦痛が大きい
このことから、アルツハイマー病患者の介護では、家族、とくに配偶者である介護者に大きなストレスを与え、心理的苦痛をともなう抑うつ症状をみせることがわかった。
近年は、老老介護も増加傾向にあるといわれ、介護する立場となる配偶者の負担はさらに重く厳しくなっていく。認知症介護における今後の課題として、AD介護者の精神的健康とその対処法についても考えていく必要がある。
(画像はイメージです)
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