『化粧療法』を実践してみませんか?

2019年11月26日

要介護の高齢者や、認知症高齢者に対して行われる『化粧療法』をご存知でしょうか。化粧療法とは、年齢を重ねても化粧や身だしなみを整えることにより心身共にイキイキと生活する上で効果的な方法と言われています。要介護の高齢者や認知症の人だけでなくとも、化粧や身だしなみを整えることは社会的な活動への意欲にもつながります。

今後医療機関でも行われる可能性がある『化粧療法』についてご紹介します。

この記事の執筆
認知症ねっと
認知症ねっと編集部
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この記事の目次
  1. 化粧療法とは?
  2. 社会的な活動をしている人はどのくらいいるの?
  3. ソーシャル・フレイル(社会性の虚弱)を予防するために、化粧療法を取り入れてみませんか

化粧療法とは?

化粧療法とは、「化粧という行為で認知機能に働きかける療法」¹⁾と言われています。女性の場合、化粧は、今までの生活の中で日常的に行っていたという方もいらっしゃるかもしれません。しかし、年齢を重ねると、外出する機会が減り、女性であれば化粧をする機会や、男性であれば身だしなみを整える機会が減る人もいらっしゃいます。

しかし、化粧や身だしなみを整えることによって、①手や顔を動かすことで、細やかな動作を行う ②顔の筋肉を動かして、表情を作る ③顔色が良くなり、自信や前向きな感情が生まれ、外出や社会的な活動に参加することで生きがいにつながる、という効果があります。

社会的な活動をしている人はどのくらいいるの?

今まで友達に会ったり、サークルや集いの場に出かけていたのに、最近外出することが億劫になった、趣味を辞めてしまった、身だしなみに無頓着になった…という方がいらっしゃいます。疲れやすくなった、体力が落ちてきたなどの身体的な要因、暑さ・寒さなど気候によって外出することが困難になるだけでなく、気持ちがふさぎがちになって、外出することが億劫になる場合があります。

高齢社会白書²⁾によると、60歳以上の人(1,870人)が行っている社会的な活動は、「自治会、町内会などの自治組織の活動」が26.5%、「趣味やスポーツを通じたボランティア・社会奉仕などの活動」が17.5%、「まちづくりや地域安全などの活動」が5.7%となっています。 一方で、「特に活動はしていない」が60.1%という結果でした。特に、80歳以上になると72.2%と上昇します。

社会とのつながりが減ると、生活範囲が狭くなり、家に閉じこもりがちになり、「ソーシャル・フレイル(社会性の虚弱)」³⁾の状態につながる恐れがあると言われています。

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ソーシャル・フレイル(社会性の虚弱)を予防するために、化粧療法を取り入れてみませんか

社会とのつながりを持つために、例えば地域の健康教室に通う、ボランティアや趣味、クラブに参加する、今までの仕事を活かして就労する、などが効果的と言われています。通いやすい時間帯や場所、興味関心のある内容を選ぶことも長続きさせるコツです。「若いときにやりたかったピアノを始めてみよう」という人や、「仕事が忙しくて、何十年もギターを弾いていないな。この機会に始めてみよう」という人もいらっしゃいます。「こんな年から始めても…」と思わずに始めてみてはいかがでしょうか。それが生きがいにつながります。

その際、出かける前に化粧や身だしなみ、服装を整える時間を作ってみましょう。おしゃれに気を遣うことは、自分自身の自信につながるだけでなく、他の参加者と話したり、一緒に食事をすることで楽しい時間を過ごし、前向きな気持ちが生まれます。

ただし、社会的活動に支障のない範囲での化粧やおしゃれにしましょう。

引用文献:1)作田妙子他 入院・通院高齢者の「化粧」および「化粧療法」に関する専門職の意識―医療機関に勤務する高齢者ケア専門職への調査から 日本老年医学学会誌.2019,56,3,p323-330
2)内閣府 令和元年版高齢社会白書(2019年11月26日アクセス)
3)東京都医師会 フレイル予防(2019年11月26日アクセス)


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