厚労省「高齢者虐待の調査結果」発表 介護施設被虐待高齢者の84.8%が認知症

2015年2月19日

高齢者虐待防止法にもとづく調査

厚生労働省が、「全国の市町村および都道府県においておこなわれた高齢者虐待への対応状況」についての調査結果を公表した。平成18年4月に施行された「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)にもとづいたものとなる。

介護施設での虐待、認知症高齢者84.8%

それによると、特別養護老人ホームなど介護施設の職員による高齢者への虐待は、2013年度に221件あったことがわかった。前年度にくらべ66件(42.6%)も増える結果となった。

さらに被虐待高齢者総数402人のうち、「認知症高齢者の日常生活自立度2以上」の人が、84.8%の341人にも上ることもわかった。

入所系施設において虐待をうける高齢者の認知症の程度と虐待の種別の関係については、自立度4の場合、心理的虐待・介護の放棄などにくらべ、身体的虐待をうける割合がとくに高かった。

養護者からの虐待

また、在宅で高齢者を養護している家族によっておこなわれる虐待にも、深刻な課題がある。被害者は1万6140人。うち47.9%が認知症。虐待の種別としては、身体的虐待が最も多く、心理的虐待、介護放棄、経済的虐待と続く。

虐待をうける高齢者に認知症がある場合、虐待の深刻度は増し、自立度3以上でこの傾向は強くなる。また、虐待者の続柄は、「息子」が 41.0%で最も多く、ついで「夫」19.2%、「娘」16.4%であった。

市町村からの介護者支援態勢を

虐待事例への市町村の対応は、「虐待者からの分離」策として「介護保険サービスの利用」「医療機関への一時入院」があげられる。分離しない事例では、「養護者に対する助言指導」が 最も多く、ついで「ケアプランの見直し」がなされている。

最近では、介護施設での虐待が疑われる事件や、在宅介護をする家族による暴力のニュースが後を絶たない。場合によっては、死亡にいたるケースもある。

認知症の高齢者を介護する家族には、外からはわからない悩みや心身のストレス、孤立感や貧困の実態がある。身内の虐待という悲劇を生まないためにも、市町村では、介護者を支援する態勢を整えていく必要がある。

(画像は報道発表資料より)

▼参考記事
ケアマネ伝授。介護が虐待にならないために

▼外部リンク
厚生労働省 報道発表
平成25年度 高齢者虐待対応状況調査結果概要PDF

【この記事を読んだ方へのおすすめ記事】

このページの
上へ戻る