認知症対策の国家戦略『新オレンジプラン』策定

2015年1月29日

認知症とともによりよく生きられる環境整備を

政府は1月27日、認知症対策についての関係閣僚会合を開き、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)を策定した。現在の認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)に変わる新戦略として、12の関係府省庁による横断的な対策が実施される。

高齢者の4人に1人は認知症または予備軍と言われている現在。政府は10年後の2025年には、認知症患者が約700万人(約5人に1人)まで増加するとの推計を発表した。

新オレンジプランではこうした背景をもとに、「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す。」を基本的考え方に据えている。

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初期段階に適切な治療を行う家庭訪問制度なども

新オレンジプランの内容は7つの柱をもとに構成されている。内容は以下の通りだ。

1.認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
→正しい知識と理解を持ち認知症当人や家族を支援する「認知症サポーター」を2017年度末までに800万人養成

2.認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
→医療・介護従事者の対応力向上を推進。かかりつけ医の認知症への対応力を向上させる研修の実施など
→できる限り早い段階から支援するための「認知症初期集中支援チーム」を2018年度までに全市区町村に配置
→地域の医療・介護などを連携させるコーディネーター(認知症地域支援推進員)を2018年度までに全市区町村に配置

3.若年性認知症施策の強化
4.認知症の人の介護者への支援
5.認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
→徘徊などに対応できる見守りネットワークの構築、詐欺など消費者被害の防止など、安全対策を省庁横断的に推進

6.認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
→2020年頃までに、全国1万人規模の追跡調査を実施。認知症のリスクを高める因子(糖尿病等)やリスクを軽減させる因子(運動等)を明らかにし、効果的な予防法の確立を目指す
→2020年頃までに、日本発の根本治療薬の治験開始を目指す

7.認知症の人やその家族の視点の重視
(厚生労働省の報道発表資料より引用)

新プランは団塊の世代が75歳以上となる2025年までを対象期間としているが、数値目標は3年後の2017年度末に設定し、具体的な対策が進められる予定だ。

(画像は厚生労働省のホームページより)

▼外部リンク
厚生労働省「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」について


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