家庭問題のコンシェルジュからのアドバイスとは?~髙瀬先生インタビューpart3

2017年8月25日

医療法人社団 至髙会たかせクリニック理事長     髙瀬義昌先生インタビュー

髙瀬義昌先生

10年以上にわたり在宅医療を続ける「たかせクリニック」理事長、髙瀬義昌先生。家庭の問題から介入し周囲の環境から患者を良い方向へと導くという先生の治療は、医療の枠を超えた支援と言えるでしょう。

最終回の今回は、先生の取り組みの具体的な事例のほか、患者さんやご家族に対するメッセージを紹介します。

第1回インタビュー「生活課題の解決が認知症治療につながる」はこちらから 第2回インタビュー「”家庭医学”の実践で患者の環境を改善」はこちらから

話し手
髙瀬義昌先生
医療法人社団 至髙会 たかせクリニック理事長
髙瀬義昌先生
この記事の目次
  1. 治療の枠を超えた支援で家族を支える“コンシェルジュ”
  2. ケア環境を整えるために患者や家族ができることとは?

治療の枠を超えた支援で家族を支える“コンシェルジュ”

在宅医療という形の中で患者とのコミュニケーションを深め、患者と家族の状態をよい方向へと導いてきた髙瀬先生。その取り組みは、治療の枠にとどまりません。

「タンスに自分の排泄物を並べていくという重度の認知症のおばあちゃんがいて、困っていたんだけど、息子は地域包括支援センターとも一応繋がっているのにそういう話を外では一切しない。で、片付けるのはお嫁さん。これはレスキューしないと家庭崩壊しちゃうからということで介入して、病院の紹介だけでなく、生活保護の手配までやった。貯金もないって言うから役所に電話してあげたりした挙句、最後になって『貯金1000万ありました』なんてこともあったね(笑)」

“病気を治療する”だけではなく、こうした問題の解決に尽力する先生は、まさに家庭問題のコンシェルジュと言えるでしょう。

その他にも、第2回で紹介したように、患者の家 族の病気を見つけ、医療につなぐことも多々あるのだとか。このようなことができるのも、訪問診療ならではです。

「こういった対応ができるのは、やはり在宅医療だからこそ。ケマネージャーの中には気づく人もいるけど、それをキャッチアップするチームの仕組みがまだきちんとできていないと感じています」

ケア環境を整えるために患者や家族ができることとは?

医学的なアプローチだけでなく、あらゆる方面から患者に対応する髙瀬先生のような主治医に、誰もが出会えるわけではありません。では、家族や自分が「もしかして認知症かも…」と思ったときに、よりよいケアを受けるために、我々はどんなアクションを起こせばいいのでしょうか。

「まずは、日頃からアンテナを張っておいて、話しやすいケアマネージャーや看護師、相談できる人を見つけておくこと」と先生はアドバイスくださいました。 そのためには、専門職や行政の職員などが顔を出す、介護予防の会や認知症カフェなどに参加することが有効だといいます。
「そういう場でも、最初から『どのお医者さんがいいの?』なんて聞いても嫌がられる。だから公園デビューじゃないけど、2~3回会に出て、話しやすい人を見つけておくといいですね」

先生は、当事者・家族ともに、外に出ての積極的な情報収集を勧めています。
「介護で困っている人も、家庭内で頑張るだけでなくて、一歩外に情報を集めに行く努力をして、そこで新しい人間関係を作ったりするといいね。ボランティアなんかもすごくいい。
認知症の人もどちらかというと内にこもりがち。『社会的引きこもり』状態になるのが問題です。なかなか積極的に動ける人はいないけど、どういう状況であれ、少し窓を開けるようなことを自分自身でしておくことが、これからますます大事かなと思いますね」

※写真はイメージです

~編集部より~
3回にわたって髙瀬先生の訪問診療を紹介してきました。

先生のようにあらゆる方面で尽力くださる主治医に出会うのは難しいことですが、アドバイスにあるように、勇気を出して外に出てみてはいかがでしょうか。よりよい環境へのヒントや出会いのチャンスを、皆さんにも、是非作っていただきたいと思います。


このページの
上へ戻る