難聴の高齢者、補聴器をつければ認知症の進行を防げる?

2015年11月25日

会話はたいせつな認知症予防策

仏ボルドーの研究チームは、高齢にともなう難聴に関し、補聴器の使用と認知機能の低下における関連性について長年にわたる調査をおこなった。

認知症を予防する上でたいせつなことの1つは、人との関わり合いだといわれている。認知症を発症した初期段階で、家から出なくなり人との関係が減っていくと、認知症状は加速度的に進行していく。会話は、重要な認知症の予防策だ。しかし加齢にともない耳が聞こえにくくなると、会話すること自体を億劫に感じるようになってしまう。

25年間の追跡調査

今回の研究では、65歳以上の3670人を対象に、1989年より25年間追跡調査し、耳の聞こえ具合と認知機能との関係を検証。さらに、難聴の高齢者が補聴器を使用することで、認知機能に差が出るか否かについても調査をおこなった。検証にはミニメンタルステート検査(MMSE)を用いて測定。

調査開始時は、自己申告で耳が聞こえにくいという人137人、中程度の難聴の人1139人、2394人は聴力の低下は見られなかった。

追跡調査の結果、自己申告で難聴であるとした人は、MMSEの値が大きく減少し、難聴で補聴器を使用している人との間で差が見られた。しかし難聴で補聴器を使用している人は、難聴ではない人との間で、認知機能の低下に差は見られなかった。

補聴器をつけて会話を楽しもう

つまり、耳の聞こえにくい人は認知機能が大きく低下する傾向があったが、補聴器を使用している場合は、難聴ではない人とあまり差異をみとめられなかったということである。補聴器の使用と認知機能低下を予防することに関連性があるかどうかは、今後さらに研究が必要のようだ。

耳が聞こえにくいまま人との会話から遠ざかってしまうより、補聴器を使用して会話を楽しんだ方が、認知症予防にとってははるかに有効だとはいえるだろう。

(画像はイメージです)

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▼外部リンク
Self-Reported Hearing Loss, Hearing Aids, and Cognitive Decline in Elderly Adults: A 25-Year Study.


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