サルコペニアの予防・改善は、認知症の予防にもつながる!

2015年11月14日

フレイルとサルコペニア

人は老化にともない身体の機能が低下していくことで、さまざまな健康障害が起きてくる。そして徐々に要介護状態、疾病の発症、入院や生命予後などの状態におちいる。脆弱な状態、「虚弱」(フレイル)は、要介護状態に至る前段階と捉えられている。

高齢者が「虚弱」(フレイル)であることの主な要素として、「サルコペニア(加齢性筋肉減少症)」が知られている。サルコペニアは、全身性の筋量減少や筋力低下が特徴。年齢を経るにしたがい筋肉量が減少し、歩行速度の低下や握力が弱くなるなど、身体機能障害や生活機能の低下が起こる。

要介護とならないために

高齢者の場合、筋肉量の低下により運動量が減少することで、さらに筋肉量が低下する。同時に骨量も低下し、骨粗鬆症が進行。身体のバランス感覚もなくなるため、すぐに転倒し骨折しやすくなる。「寝たきり」となるリスクが高い。

超高齢社会となりつつある今日、高齢者をいかに要介護に移行させないかが、社会の重要な課題となっている。サルコペニアは要介護に至る重要な要因の1つと考えられ、その予防法と治療法が求められている。

サルコペニアは認知症や癌にも関係

近年サルコペニアは、転倒や骨折のリスクを高めるだけでなく、認知症や癌にも関係しているといわれている。

サルコペニアは、握力、筋肉量、歩行速度の3つの基準で診断され、そのすべてにおいて基準以下だと、サルコペニアと診断される。とくに身体の代謝を制御するという重要な役割を担う骨格筋の衰えは、感染症や癌のリスクを高める。

認知症においても、サルコペニアによる運動量の低下は、脳細胞の萎縮につながるとの研究報告がある。認知機能を高めるためには、運動することで骨格筋を刺激し、海馬の細胞を活性化させることが大切だと考えられている。

適切なたんぱく質の摂取と運動が有効

認知症を早期予防するためには、まずサルコペニアの予防・改善が重要な鍵となるようだ。筋肉量の低下を改善し骨格筋を強くするためには、効率良く筋たんぱくを合成するたんぱく質の摂取と運動療法の併用が効果的だといわれている。

認知症予防には、ウォーキングなどの有酸素運動が有効であるが、筋力を高めるためには、スクワットなどのレジスタンス運動(筋力トレーニング)も必要となる。認知症にも「寝たきり」にもならないために、筋肉をつくるたんぱく質を適切に摂取し、有酸素運動と筋力トレーニングを心がけよう。

(画像はイメージです)

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▼外部リンク
厚生労働省 資料


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