生活習慣を見直して認知症を予防しよう
- この記事の目次
高齢者になるほどリスクが高まる認知症
経済協力開発機構(OECD)の資料(2017年版の医療に関する報告書)によると、日本の人口における認知症患者の割合が、世界で一番高いことがわかりました。日本は医療機関での認知症診断が進んでいることもありますが、高齢者人口が多いことも指摘されています。実際に、65歳以上になると5歳年齢が上がるごとに認知症リスクは高くなっています。
また、厚生労働省の推計では、2025年には、認知症とMCI(軽度認知障害)の患者数は約4人に1名になるといわれています。つまり夫婦であれば、双方の両親のうち1名は認知症を罹患していることになります。今や、認知症は自分の家族にとって身近な存在であり、どの年代にとっても気になる病気となっています。
年齢を重ねるほど高まる認知症への関心
2017年に日清オイリオグループがインターネットで全国20~79歳の男女2000人に行った調査※によると、20代でも半数近く、そして年代が高くなるほど認知症への関心度が高くなることがわかりました。認知症になると、介護が必要になることもあり、本人、家族ともに経済的、身体的、精神的負担が増加します。
そのような中で、30代~50代の回答では将来を見据え「収入低下や介護費用などの経済面」に不安が強く現れ、60代以降の回答では「物忘れ、記憶力の低下」、「判断力の低下」と自身の身体的、精神的な不安が強く現れています。
残念ながら現在認知症は完治する病気ではありません。しかし、認知症の手前の状態で適切な対応をすることによって発症を防ぐことができるという研究もあります。続いて、認知症になりにくい生活とはなにかを見ていきましょう。
※認知症に関する調査
日清オイリオグループ株式会社 中央研究所 生活科学研究グループ
調査期間:2017年9月6日~8日
調査手法:インターネット調査
調査対象:全国20~79歳の男女 2000サンプル(人口動態に基づき割付を決定)
認知症になりにくい生活とは?
「こうすれば認知症にならない」というような方法はありませんが、研究が進むにつれ、認知症の約6割を占めるアルツハイマー型認知症の発症には、生活環境も大きく影響してくることなどがわかってきています。良い食生活や運動習慣は脳の状態を良好に保つために取り入れたいものです。
食生活では、野菜や果物によって摂取できるビタミンC、E、βカロチン、魚に含まれるDHA、EPA、それから、赤ワインに含まれるようなポリフェノールの摂取なども勧められています。運動は体全体、そして脳の血流も良くしますので、週3回程度は取り入れたいところです。
「ながら運動」や「デュアルタスク」などの、複数の動作を一度に行う運動は脳を活性化させることができると言われています。また、ある研究によると有酸素運動は脳機能の低下を防ぎ、脳を若く保つ働きがあることが明らかにされています。普段運動習慣のない方も、ぜひウォーキングから始めてみましょう。
他には音楽を聞くことや新聞や雑誌を読むこと、麻雀や将棋、パズルなどのゲームをする、計算問題を解くなどに取り組むことで脳を働かせましょう。その際、複数人で一緒に行うことや楽しんで行うことがポイントです。
前述の日清オイリオグループの調査でも、認知症予防として取り組みたいことで、運動、食事、趣味活動などがあげられています。年代別では、男女とも若いほど運動などへの取り組みが中心であり、年齢が上がるにつれ、サプリメントの摂取や、検診の受診、コミュニケーションを取るなど、認知症予防への取り組み方に変化が見られ、さまざまな取り組みを行って来ていることがわかります。
また、日常生活に取り入れやすい「認知症予防のために摂っている食品」への回答では、DHA、EPAに加え、ココナッツオイル、MCTオイルなどもあげられていました。
認知症予防に注目される「MCTオイル」とは?
近年、スーパーなどでも多く見かけるようになったココナッツオイル。そのココナッツオイルに多く含まれているのが、MCT(中鎖脂肪酸)です。MCTはエネルギーになりやすく、さらに分解されてできる「ケトン体」がアルツハイマー病において重要な役割を果たすことがわかっています。
アルツハイマー病では脳のエネルギー源であるブドウ糖をうまく利用できなくなり、認知機能の低下が起こるといわれています。「ケトン体」はその脳のエネルギー不足を補うことができることで注目されています。
ココナッツオイルにはMCT以外の脂肪酸も含まれていますが、「MCTオイル」は中鎖脂肪酸100%のため、認知症予防のために一層効率的です。
「MCTオイル」の上手な取り入れ方
ココナッツオイルはその甘い香りが特徴的ですが「MCTオイル」は無味無臭なので、どんな料理にもプラスできます。ドレッシングに混ぜてサラダにかけたり、味噌汁に入れたりしても味を損ねません。サラサラとしているので、コーヒーなどに加えても油っぽさと感じず、手軽に摂れますね。
ただし、加熱すると煙が出やすいので、出来上がった料理にそのままかけてお使いください。心身の不調が気になったら、医療機関を受診することが肝心ですが、認知症になりにくい生活を目指して、毎日の食事、運動習慣を見直すなど、できることから始めてみましょう。
▼関連リンク
脳のエネルギー不足を助ける「中鎖脂肪酸」の働き
- 【PR】治験参加者募集中!もの忘れなどのある高齢者でも、安心して使える睡眠治療薬の提供を目指して
- 11/28(木)「オンラインフレイル予防講座」防災編を開催(福岡市)
- 10/30(水)「オンラインフレイル予防講座」口腔編を開催(福岡市)
- 認知症予防医/広川慶裕医師の新刊「脳のスペックを最大化する食事」7/20発売
- 認知症予防医/広川慶裕医師の新刊「潜伏期間は20年。今なら間に合う 認知症は自分で防げる!」
- 広川慶裕医師の、認知症予防のことがよく分かる『認トレ®️ベーシック講座』開講!
- 知ると知らないじゃ大違い!民間介護保険って何?
- 酸化ストレスを減らすと認知症予防に!秘密はサプリメント
- ユッキー先生の認知症コラム第92回:あるべき姿の認知症ケア
- 認知症専門医による認知症疾患啓発イベントを開催
- ポイントは食生活にあった。認知機能維持に必要なのは・・・
- 認知症予防は40代から!摂ると差が出る栄養素とは。
- 山口先生のコラム「やさしい家族信託」第17回:Q&A 外出自粛で、認知機能の低下が心配。家族信託、遺言、後見、今できることが知りたい
- 【広川先生監修】5分で分かる認知機能チェック(無料)はこちら
- 認知症は予防できるの?
- 認知症の種類とその詳細はこちら