認知症の予防と治療:④脳血管性認知症の再発予防

この記事の目次
  1. 脳血管性認知症と診断され、再発に注意と言われました。どんな経過をたどるのか?
  2. 脳血管性認知症の合併症はどんな症状があるのか?
  3. 再発を予防するためには、どうしたら良いのか?
  4. どんな治療方法があるのか?

脳血管性認知症と診断され、再発に注意と言われました。どんな経過をたどるのか?

脳血管性認知症は、脳の血管が詰まる脳梗塞、脳の血管が破れて出血する脳出血などによって起こる認知症のことです。脳血管障害を起こしてすぐに認知症の症状がみられる場合もありますが、脳の細い血管が梗塞を起こす(ラクナ梗塞と言います)と、徐々に認知症の症状がみられる場合があります。

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脳血管性認知症では、脳梗塞や脳出血を起こす度に段階的に悪化することが多いと言われています。そのため、適切な治療を行い、再発をしないように予防することが重要です。その結果、認知症の進行を緩やかにする場合もあります。

脳血管性認知症の合併症はどんな症状があるのか?

歩行障害、不安定な歩行、転倒、排尿障害、人格障害、意欲の低下、うつ、感情のコントロールがうまくできない感情失禁などが起こりやすいと言われています。特に、脳血管性認知症の人の場合、うつを合併する割合が高いと言われています。

再発を予防するためには、どうしたら良いのか?

脳血管性認知症の人は、動脈硬化の危険因子となる高血圧、糖尿病、脂質異常症、心臓の病気などに罹っている人が多いです。そのため、持病の治療や生活習慣の改善を行う必要があります。また、喫煙は脳血管性認知症の危険因子のひとつです。禁煙に努めましょう。

どんな治療方法があるのか?

再発予防としての薬物療法、リハビリテーション療法、食事療法、運動療法などがあります。

もともと本人が罹っている病気や、脳血管障害の再発を引き起こす危険因子の薬物療法を行うことが重要です。例えば、高血圧であれば血圧のコントロール、糖尿病の治療であれば血糖コントロールなどを行います。

また、うつを合併する人が多いため、抗うつ薬を使用する場合もあります。

リハビリテーション療法は、脳血管障害の治療として行われますが、脳血管性認知症の場合もリハビリテーションを継続しましょう。日常生活において、自分でできることは自分でやってもらうように自立につなげることも大切です。

食事療法は、バランスの良い食事を心がけ、肥満の予防に努めましょう。また、高血圧であれば塩分を控える、糖尿病であれば糖尿病の食事療法を守るといったもともと罹っている病気の食事療法を続けましょう。

運動療法は、リハビリテーションだけでなく、日々の生活の中でできることを行いましょう。例えば、散歩を行う、椅子からの立ち上がり動作、家事を行う、趣味をもつ、外出するなどを行いましょう。また、椅子に座って足踏みをしながら引き算をする、散歩しながら歌を歌うなど2つのことを同時に行うと、脳の活性化につながります。

ただし、無理はしないこと、体調が悪くなった場合、すぐに中止することが大切です。

タバコがどうしてもやめられない場合は、禁煙外来などで治療を受ける方法もあります。

参考文献:1)今井幸充:認知症を進ませない生活と介護 法研,平成27年,p36~37



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