精神科における拘束を受けた患者の数が10年前に比べ2倍に

2016年5月18日

身体的拘束を受けた高齢者の数が全国で1万人を超える

平成28年5月9日、精神科の病院において身体的な拘束を受けた高齢者の数が2013年度において、10年前の2倍となる10,229人にのぼることが厚生労働省による調査によって判明した。

なお、外側からのみ施錠を解除できる保護室へ隔離された者は、10年前と比べおおよそ3割増しとなる9,883人となっている。

アルツハイマー型認知症の発症割合が背景か

これまでも精神保健福祉法によって禁止されているにも関わらず、安易な身体的拘束が一部の特養等で行われてきている。

そして、残念ながら増加の一途(いっと)をたどっていることが今回の調査により明らかとなった。

この背景には有識者からの指摘にあるような、安易な身体拘束実施の他にも施設等を利用する高齢者における、アルツハイマー発症率の高まりがあると厚生労働省は指摘する。

だがその一方で、アルツハイマー型認知症患者の増加と身体的拘束の増加との間に、明らかな因果関係はないともしている。

身体的拘束の実施が悪循環を生むことも

先に触れたように安易な身体的拘束の実施は、精神保健福祉法により制限されている。

その理由としては、高齢者本人における人権や人としての尊厳の侵害等があげられるが、加えてBPSDの増強にもつながり得るからだ。

このことからも、厚生労働省により出されている「身体拘束ゼロへの手引き」を参考に、安易な拘束は避けるべきといえる。

▼外部リンク
厚生労働省


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