金沢大学アルツハイマー病状コントロールへの糸口見つける
2016年5月16日
アルツハイマー型認知症の原因物質の繊維構造観察に成功
日本時間の5月10日、金沢大学の山田正仁教授らがアルツハイマー型認知症の原因物質である、アミロイドβの繊維構造がその置かれている環境によって左右されることを発見したと、同日のアメリカ科学アカデミー紀要電子版にて発表された。
なお、これはアメリカのカリフォルニア大学との共同により行われたものである。
世界初アミロイドβの繊維構造の観察に成功
今回の研究では、アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβを人口生成し、それを分子構造や分子動態を精密に撮影することのできる原子間力顕微鏡により観察した。
その結果、その繊維構造として直線型とらせん型そして新たに両者の構造を併せ持つ存在が、世界で始めて確認されたのである。
加えてアミロイドβを生成したときに用いる溶媒を変えることで、生成されるアミロイドβの構造が変化することも認められた。
具体的には、食塩水溶媒ではらせん型が塩化カリウム溶媒では新たに発見された構造が、多く見られたのである。
これは、塩分組成といった環境により繊維構造が左右されることを示している。
アルツハイマー型認知症の病状や進行度のコントロールに期待
今回の研究結果から、アミロイドβに対する周囲環境を操作することでアルツハイマー型認知症の病状や、進行速度をひいては発症の予防を図ることができるのではとされている。
これは、アルツハイマー型のうち数年で死に至ってしまう急速進行型もあることから、期待の持てる内容だと言える。
▼関連記事
運動によってアルツハイマー病の原因物質をつくる酵素GSK3βの活性化阻害が判明
アルツハイマー病の原因とされるタンパク質を細胞内で可視化する技術を開発
▼外部リンク
世界最速の原子間力顕微鏡を用いてアルツハイマー病原因物質の構造変化を確認
【この記事を読んだ方へのおすすめ記事】
- 【PR】治験参加者募集中!もの忘れなどのある高齢者でも、安心して使える睡眠治療薬の提供を目指して
- 11/28(木)「オンラインフレイル予防講座」防災編を開催(福岡市)
- 10/30(水)「オンラインフレイル予防講座」口腔編を開催(福岡市)
- 認知症予防医/広川慶裕医師の新刊「脳のスペックを最大化する食事」7/20発売
- 認知症予防医/広川慶裕医師の新刊「潜伏期間は20年。今なら間に合う 認知症は自分で防げる!」
- 広川慶裕医師の、認知症予防のことがよく分かる『認トレ®️ベーシック講座』開講!
- 知ると知らないじゃ大違い!民間介護保険って何?
- 酸化ストレスを減らすと認知症予防に!秘密はサプリメント
- ユッキー先生の認知症コラム第92回:あるべき姿の認知症ケア
- 認知症専門医による認知症疾患啓発イベントを開催
- ポイントは食生活にあった。認知機能維持に必要なのは・・・
- 認知症予防は40代から!摂ると差が出る栄養素とは。
- 山口先生のコラム「やさしい家族信託」第17回:Q&A 外出自粛で、認知機能の低下が心配。家族信託、遺言、後見、今できることが知りたい
- 【広川先生監修】5分で分かる認知機能チェック(無料)はこちら
- 認知症は予防できるの?
- 認知症の種類とその詳細はこちら