糖質だけじゃない脳と脂質の大事な関係!!栄養士によるコレステロールを積極的に取った実践レシピ
この記事を読んでわかること
- 一般的に認知症予防でよく聞かれる必要栄養素
- 適性量の糖質摂取(エネルギー源の確保)
- 神経伝達であるアセチルコリンの材料になるレシチンの確保
本日のレシピ 納豆タコライス
本日のレシピ 納豆タコライス
認知症予防に必要なのはバランスの良い食生活
年々増加傾向にある認知症患者数。認知症予防に良いとされるさまざまな栄養素が注目されています。中でもイワシやサバなどの青魚に多く含まれているDHAやEPAなどのn-3系の不飽和脂肪酸、オリーブオイルなどに含まれているオレイン酸、抗酸化作用が期待できるビタミンCやビタミンEはその強い味方として有名です。
その他、注目されている成分として、脳の神経伝達物質であるアセチルコリンの材料になるレシチンの摂取も重要とされています。これらは総じて、「コリン食」などとも呼ばれています。
ただ、これらの栄養素はバランスの良い食生活があってこそ、その効果を発揮できるものです。バランスの良い食事というのは、炭水化物、たんぱく質、脂質のバランスに加え、ビタミン、ミネラルが摂れる食事のことです。最近、ブームである糖質制限も、過度に糖質を制限してしまうと脳へのエネルギー源が不足してしまい、認知症予防という観点から、良くない影響も考えられるので注意が必要です。
実は盲点、脳の構成成分と脂質の関係
一般的には、脂質を摂りすぎてしまうと、肥満に繋がり、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病にも繋がるとされていますね。ですが実は、認知症予防という観点では、脂質は非常に大切な栄養素でもあるのです。
それは、脳は水分を除くと、なんと約60%が脂質で構成されているからです。 これらの脂質は、神経伝達細胞の構成成分として存在しており、脂質が不足すると神経伝達細胞も不足し、うまく情報が伝達されなくなってしまう可能性もあるのです。
脳にとって必要不可欠なコレステロール
このように、脳では非常に大切な脂質ですが、一般的に増えすぎると動脈硬化などの影響があり、あまり良くないイメージのあるコレステロールも、脳にとっては非常に大切になってきます。そもそも、コレステロールは身体の中で約60兆個ともいわれる細胞を構成する細胞膜に含まれている成分であり、細胞膜の流動性を調整する働きをしているものです。その他にも、ステロイドホルモンなどの原料であったり、脂肪の消化に不可欠な胆汁酸のもとになったりもしているのです。
そんなコレステロールは、特に脳と神経系に多く、成人のコレステロール量100g〜150gのうち1/4が脳に集中、神経系全体では1/3強あるとされているのです。これは、脳には、500億個〜1兆個もの神経細胞があり、その細胞の構成成分として、コレステロールが不可欠だからなのです。
栄養士が教えるコレステロールの摂り方の注意点
さて、コレステロールが脳の神経細胞を維持する上で重要だ、という話をしましたが、では、どのくらいの量を摂ってよいのでしょうか。 実は、我が国の「2015年日本人の食事摂取基準:厚生労働省」では、コレステロール制限は推奨されていないのです。これは、健常者において食事中コレステロールの摂取量と血中コレステロール値の間の相関を示すエビデンスが十分でないためです。この考えには日本動脈硬化学会も賛同を示しており、また、米国においても、コレステロール摂取の基準を設けないとの見解が発表されています。
ですが、これらの考え方はあくまで「健常者」についてのことです。日本動脈硬化学会は、高LDLコレステロール血症患者においては、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012にて、コレステロールの摂取目安量を200mg/日以下としています。この数値はS〜Mサイズの卵約1個程度です。
ただ、この数値は超過してはいけない値ではなく、目安となる平均摂取であり、時にはたくさん摂取しても常日頃は抑えておこうとするのが大切であることも発表されています。また、コレステロールの摂取目安量と同時に、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸の摂取目安も発表されており、これらも考慮して、あまり偏らないようにバランスよく食べることも大切なのです。
脂質(コレステロール)をとりつつ併せて摂りたい糖と大豆(レシチン)
ここまで、認知症予防におけるコレステロール摂取についてお話してきました。しかし、やはり、このように重要なコレステロールもバランスの良い食事の基本があってこそ。特に脳のエネルギー源である、適度な糖質は控えすぎないことも大切です。また、神経伝達物質であるアセチルコリンの材料になるレシチンも積極的に摂ることで、認知症予防にも繋がります。レシチンは、卵や大豆に多く含まれています。しかし、食品から一度に十分な量を摂るのは難しいので、こまめに意識して摂取していきたいものですね。
コレステロールを取り入れたイチオシレシピ
脳にとって不可欠なコレステロールとレシチンですが、どのような食事で摂取したら良いのでしょうか。今回は、そんな、コレステロールとレシチンを適度に摂れる一押しのレシピを紹介します。「納豆タコライス」です。
一皿で栄養バランスが良いことはもちろん、卵で適度なコレステロールの補給もすることができる上に、大豆レシチンや卵黄レシチンを摂れる「コリン食」でもあります。また、アボカドに含まれるオレイン酸や、ミニトマトに含まれるビタミンCも摂れるものです。
本日のレシピ
納豆タコライス
●調理時間:約10分
●材料(2人分)
納豆 2パック(90g)
卵 2個
ケチャップ 大さじ2(30g)
中濃ソース 大さじ2(30g)
ごはん 茶碗2杯(300g)
レタス 2枚(40g)
ミニトマト 4個(40g)
アボカド 1/2個(50g)
レモン汁 少々
シュレッドチーズ ふたつかみ(10g)
作り方
この記事の執筆者
- 東京農業大学卒業後、食品会社に勤務。病態別食品や栄養補助食品の普及に携わり、その後、結婚を機に退職。二児の母。
- 管理栄養士、料理家としてレシピ開発、レシピ提供なども行っている。
- 料理制作・監修『クックパッドダイエットてばかりダイエットレシピ』(宝島社)
- 管理栄養士
- 食生活アドバイザー
まとめ
普段の食事は、バランスの良い食事を基本とし、過度な糖質制限は控え、適度なコレステロール、レシチンを含む食事をすることで、認知症予防にも繋がります。毎日、少しず意識して健康的な食生活を送ってみてくださいね。
- 【PR】治験参加者募集中!もの忘れなどのある高齢者でも、安心して使える睡眠治療薬の提供を目指して
- 11/28(木)「オンラインフレイル予防講座」防災編を開催(福岡市)
- 10/30(水)「オンラインフレイル予防講座」口腔編を開催(福岡市)
- 認知症予防医/広川慶裕医師の新刊「脳のスペックを最大化する食事」7/20発売
- 認知症予防医/広川慶裕医師の新刊「潜伏期間は20年。今なら間に合う 認知症は自分で防げる!」
- 広川慶裕医師の、認知症予防のことがよく分かる『認トレ®️ベーシック講座』開講!
- 知ると知らないじゃ大違い!民間介護保険って何?
- 酸化ストレスを減らすと認知症予防に!秘密はサプリメント
- ユッキー先生の認知症コラム第92回:あるべき姿の認知症ケア
- 認知症専門医による認知症疾患啓発イベントを開催
- ポイントは食生活にあった。認知機能維持に必要なのは・・・
- 認知症予防は40代から!摂ると差が出る栄養素とは。
- 山口先生のコラム「やさしい家族信託」第17回:Q&A 外出自粛で、認知機能の低下が心配。家族信託、遺言、後見、今できることが知りたい
- 【広川先生監修】5分で分かる認知機能チェック(無料)はこちら
- 認知症は予防できるの?
- 認知症の種類とその詳細はこちら