神経炎症の可視化 認知症治療への応用を期待

2016年3月9日

抗炎症薬の開発も

理化学研究所(理研)の尾上 浩隆チームリーダーらのグループは、神経炎症に関わる酵素COX-1の検出技術を開発し、アルツハイマー型認知症モデルマウスへの試験を通じて、神経変性の進行にCOX-1が関与する様子を明らかにすることに成功したと発表した。

神経炎症の存在が発症プロセスに大きく関わるといわれているアルツハイマー型認知症だが、一部の非ステロイド系抗炎症薬がその治癒に効果を発揮する可能性が臨床研究などを通して報告されており、抗炎症薬としての薬効に期待がもたれていた。

しかしアルツハイマー型認知症とCOXの関係が明確に確立されたわけではなく、理研の研究チームは非ステロイド系抗炎症薬ケトプロフェン(KTP)を基に、ラットの脳内にあるミクログリア中のCOX-1が炎症に関係していることを突き止めた。

今後の進展に期待

研究チームはアルツハイマー型認知症モデルマウスの加齢に伴う症状の進行とCOX-1の変化の関係を調べる中で、ミクログリア活性化の増大がアミロイドベータプラークの増加と連動することを確認した。

COX-1が認知症モデルマウスの神経炎症に関与することが明らかになったことで、ヒトのアルツハイマー型認知症における脳内炎症の病態や進行度を評価するための新たな道筋が開かれたということができるだろう。

(画像は理化学研究所HPより)

▼外部リンク
理化学研究所 プレスリリース

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