「認知症社会を考える」 -認知症でも働ける、お荷物ではなく人材
Japan In-depthの放送
11月1日、Japan Inーdepthのチャンネルで、「認知症社会を考える」の放送が公開された。ゲストに認知症や介護問題に取り組むフリージャーナ-リスト古川雅子氏を迎え、10年後には、認知症高齢者が700万人に達するといわれる日本の超高齢化社会に向け、その対策と心がまえについてのトークがおこなわれた。
「AERA」の特集 -認知症でも働ける
特別ゲストとして朝日新聞社「AERA」の記者古田真梨子氏も参加。「AERA」11月2日号では、「認知症でも働ける」と題した大特集を組んでいる。古川雅子氏の取材記事も掲載されており、トークも「AERA」の記事中心の内容となった。
64歳以下で発症する若年性認知症では、当事者の経済的な悩み、本来なら養うべき家族への負担、職場での対応などが問題となる。町田市での取り組みを例にあげ、洗車作業への参加や学童保育での清掃作業のかたわら、子どもたちと遊んだり読み聞かせをしたりして、地域社会と共存していく姿を紹介した。
富士宮市の先進的取り組み
また「認知症フレンドリーな社会」を掲げ、先進的な取り組みをおこなう静岡県富士宮市は、「介護保険だけに頼らずに『地域で』支える」がモットー。さまざまな業種の団体を巻き込んで利害関係抜きの活動を展開する例が紹介された。
これらの取り組みは「富士宮方式」として注目を集め、国内各地はいうまでもなく外国からも視察者が訪れるという。全日本認知症ソフトボール大会「Dシリーズ」の開催地であることでも知られている。
佐藤雅彦氏「不便だけど不幸ではない」
数々紹介された中でも印象的だったのは、『認知症になった私が伝えたいこと』を出版するなど、認知症当事者でありながら自ら発信者でもある佐藤雅彦氏の「不便だけど不幸ではない」という言葉だ。
「失ったもの」を悩むのではなく、「残されたもの」を工夫して日々生きていくことがたいせつだという。認知症の発症を知ることは終わりではなく、新しい自分の始まり。ひとり暮らしでも、欠けた記憶を工夫することで補い、発信者として生活していく。
未来のどこかで自分自身が発症するかもしれない認知症を、「認知症になっても大丈夫」と受けとめ、「お荷物」ではなく人材として考えていける地域の姿勢が求められている。
進行役のJapan In-depth編集長安倍宏行氏は、認知症社会では「認知-症患者と共存する道を選び、また患者自らも生き生きとした人生をあきらめることなく、-明るく前向きに働き続ける必要がある」と述べる。
(画像はYouTube放送画面より)
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