パーキンソン病患者の将来的な認知症合併のリスクは?
2015年8月19日
パーキンソン病の特徴
パーキンソン病は、一般に運動の障がいが主な症状といわれ、安静時に手先や足がふるえる「振戦」、手足の曲げ伸ばしが固くなる「筋強剛」、無動あるいは動作が緩慢となるなどの特徴があげられる。また、認知症を合併する確率が高いことでも知られている。
パーキンソン症候群の患者128人を対象とした調査
今回、スウェーデンの大学など神経学を専門とする研究グループが、脳脊髄液の検査によって将来認知症を発症するかどうか予測する研究をおこない、その成果を発表した。
研究チームは、2004年~2009年の間に診断されたパーキンソン病患者を中心に、5~9年間の追跡調査をおこなった。対象となったのは、認知症を発症していないパーキンソン症候群の患者128人で、そのうち104人が早期パーキンソン病、11人が多系統萎縮症、13人が進行性核上性麻痺であった。
脳脊髄液の3つの物質から予測
脳脊髄液に含まれる物質を検査し、経過観察によって、認知症の発症を予測しうる要素を検証した結果、早期パーキンソン病の患者104人には、進行性核上性麻痺のある13人の患者や健常対象者30人とくらべ、異なった脳脊髄液のパターンが見られた。
すなわちパーキンソン病患者においては、脳脊髄液に含まれるニューロフィラメント軽鎖タンパク質、アミロイドベータ 1-42、心臓由来脂肪酸結合タンパク質という3つの物質の量が、認知症の発症と深く関わっているとの結果が得られた。
これらのデータを解析することにより、パーキンソン病が将来認知症をともなう確率が、かなりの正確さで予測されることがわかった。これらの研究が、今後のパーキンソン病ならびに認知症の解明と予防法究明の一助となることを期待したい。
(画像はイメージです)
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