全警察官と全職員に「認知症講座」受講の義務化を決定【警視庁】

2015年8月13日

約4万6000人の警察官・職員ら

警視庁では、認知症の高齢者が徘徊により帰宅困難となるケースが増えているのを受け、全ての警察官と職員約4万6000人を対象に、「認知症講座」の受講を義務化することを決めた。2015年度中に受講完了をめざす。

「認知症講座」は、専用のテキストを使って認知症についての正しい理解を得ることを目的としており、専門の講師らを招き、認知症の症状などに関する基本的な知識や接し方など、認知症の人への対応方法を学ぶ。

知識不足による対応の遅れ

ここ数年来、認知症高齢者が道に迷って自宅が分からなくなる場合や、体調が悪くなって保護されるケースが増えている。しかし対応にあたる警察官が、認知症の症状を見分けることが難しく知識も不足しているため、対応が遅れてしまうという事態が発生している。

中には、路上で倒れていた高齢男性を、警察官らが事情を聞きながら認知症とは気づかず救護しなかったため、その後死亡に至ったというケースもあった。今年に入ってからも、路上で転倒し負傷していた高齢男性を、いったんは病院で治療したにもかかわらず、警察官らがやはり認知症とは気づかずに近くの公園に放置してしまったことが報道された。

増え続ける認知症行方不明者に歯止めを

警察庁の発表によれば、認知症で行方不明になったという届け出件数は、年々増加傾向にあり、

「2012年 9607人、2013年 1万322人、2014年 1万783人。2014年には、行方不明だと届け出があった人のうち、13.3%が『認知症』による行方不明だった」(IRORIOより引用)

ということだ。

警察官らが「認知症講座」を受講することで、徘徊する認知症高齢者への適切な対応と保護がおこなわれ、起こりうる事故や行方不明となるケースが少しでも事前に防げることを期待したい。

(画像はイメージです)

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