余分にとる睡眠にアルツハイマー型認知症の記憶障害を改善する可能性あり

2015年6月1日

ショウジョウバエの実験

これまでの多くの研究は、たっぷり睡眠をとることが記憶力によい影響を与えることを示唆している。このほど、アルツハイマーの症状をしめすショウジョウバエの実験で、睡眠を多くとると脳の記憶障害を改善するという研究結果が明らかにされた。

米国セントルイス・ワシントン大学医学部(Washington University School of Medicine in St. Louis)において、ポール・ショー博士らのグループがおこなった研究で、4月23日、Current Biologyのオンライン版で発表された。

人工的に睡眠を与えて記憶力を改善

研究グループは、3種類のハエを用意し、睡眠と記憶の関係を調べた。1種類は、遺伝子を操作してアルツハイマー病に似た症状をみせるグループ、次の1種類は、記憶をとどめる能力を弱めたグループ、3種類目は、記憶する能力を過剰にしたグループ。

その結果どの種類のハエも、余分にとった睡眠が記憶力によい影響を与えるという結果をしめした。

研究グループは、ハエの脳に薬剤を投与して、余分な睡眠をとるよう人工的な刺激を与えた。1日に3~4時間の余分な睡眠を、わずか2日間ほどとっただけで、ハエの記憶力は回復。

睡眠を誘導する方法

神経生物学の准教授 ポール・ショー博士は、

「記憶力を改善するためには、正しい種類の睡眠である必要がある。私たちには、人間の脳内にこのような睡眠を誘導する方法がまだわかっていないが、今後の研究により、重要な可能性があることを示唆するものだ」(ワシントン大学 Newsroomより引用)

とのべている。

睡眠によって、失われた記憶を回復することはできない。しかし、記憶力の衰えを改善、あるいは予防し遅らせる効果については、大いに期待できるのかもしれない。

▼認知症関連おすすめ書籍

▼認知症ねっと おすすめサービス

▼外部リンク
「Extra sleep fixes memory problems in flies with Alzheimer’s-like condition」(ワシントン大学 Newsroom)

【この記事を読んだ方へのおすすめ記事】

このページの
上へ戻る