アルツハイマー型認知症と神経活動の関係を解明【東大研究グループ】

2015年5月22日

脳の神経活動がアミロイドベータの蓄積に関わる

東京大学大学院医学系研究科の岩坪威教授ら国際研究グループは、5月1日、慢性的に高い神経活動が脳におけるアミロイドベータの蓄積を高め、アルツハイマー病の病理変化を強めることを、マウス実験において発見したと発表した。

同研究は、東京大学と米国スタンフォード大学のKarl Deisseroth教授、ワシントン大学のDavid Holtzman教授らと共同でおこなわれた。

光遺伝学の成果

アルツハイマー病は、アミロイドベータとよばれるタンパク質が脳内に溜まっていくことにより認知症となると考えられている。脳の神経細胞は、シナプスとよばれる接合部分でつながっており、電気的な興奮を伝える神経活動によって機能している。

同研究グループは、アルツハイマー病の症状を再現したマウスに、光刺激で神経細胞を活性化させる遺伝子を導入。5カ月間刺激を加えることで、記憶の中枢である海馬での神経活動を慢性的に高めた。その結果、アミロイドベータの蓄積にさらに増加がみられた。

この実験は、マウスの脳における神経活動を、光を用いて制御するという最新の光遺伝学の手法を用いたもの。

脳の神経活動を整える

この研究により、アルツハイマー病の原因となるアミロイドベータの蓄積が、長期間における神経活動の高まりによって増大することがしめされた。

脳の神経活動を整え制御することの有効性が、今後のアルツハイマー病の治療法や予防を研究する上で、大きな足がかりとなることが期待されている。

(画像はプレスリリースより)

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東京大学 プレスリリース


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