順大ら、パーキンソン病患者への「腸内細菌叢移植療法」共同研究

2024年10月29日

順天堂大学とメタジェンセラピューティクスが共同研究

順天堂大学(東京都文京区)とメタジェンセラピューティクス株式会社(山形県鶴岡市)は、2024年9月より、「パーキンソン病に対する抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法の開発」の共同研究を開始しました。パーキンソン病患者を対象に「腸内細菌叢移植療法」の安全性や治療効果について検討し、新たな治療の選択肢として提供できるよう研究を行います。

パーキンソン病は、中脳にある黒質の神経細胞の中にαシヌクレインが蓄積することで黒質細胞が減少しドーパミンが減少する、中枢神経変性疾患です。日本では、パーキンソン病は指定難病であり、患者数は約29万人(令和2年 患者調査 傷病分類編)とされています。高齢になるほど発症率が高まるため、患者数は増加傾向にあり、2030年には全世界で3000万人が罹患すると予測されています。

パーキンソン病治療においては多くの治療薬が存在する一方で、長期的効果や副作用、患者さんの生活に大きな影響を及ぼす運動症状の課題など、アンメットメディカルニーズ(満たされていない医療ニーズ)が多く存在します。しかし、疾患の原因物質を標的として作用する疾患修飾療法はまだ開発されておらず、進行を抑制する薬剤など新たな治療が必要とされています。近年の研究(Nishikawa H. et al., Movement Disorder 2020 Sep;35(9):1626-1635.)では、パーキンソン病の病態と腸内細菌叢の関係や、腸内細菌叢を調節することで治療の奏効割合が改善される可能性が示唆されています。

関係者コメント

順天堂大学 医学部 神経学講座 主任教授 服部信孝
「パーキンソン病は、単なる脳の疾患ではなく、“全身疾患”または“腸の疾患”であるとも言えます。パーキンソン病の原因物質であるα-シヌクレインは、腸管神経叢から始まり中脳黒質まで上行する可能性が示されており、腸内細菌がパーキンソン病治療の鍵を握っているとも考えられます。パーキンソン病における疾患修飾療法の実現は、私たち医療従事者、そして患者さんの大きな願いです。今回の研究は、新たなパーキンソン病治療開発に向けた大きな一歩であると考えています」

タジェンセラピューティクス 代表取締役社長CEO 中原拓
「日本においてパーキンソン病治療・研究をリードする存在であり、また腸内細菌叢移植療法の臨床実績を多く持つ順天堂大学と、新たなパーキンソン病治療の開発に向けた共同研究を開始できることを、大変嬉しく思います。パーキンソン病は、高齢化に伴う患者数の増加や認知症との関連からも、画期的な治療の開発が必要をされている領域です。弊社の腸内細菌叢に関する知見、腸内細菌叢移植の支援サービスや、FMT起点のリバーストランスレーショナル創薬プラットフォームを最大限に活用し、パーキンソン病患者さんやそのご家族の皆様に新たな治療の選択肢を届けられるよう、尽力してまいります」

詳しくは下記外部リンクよりご覧ください。

(文頭画像はイメージ、文中画像はプレスリリースより)

▼外部リンク
順天堂大学プレスリリース


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