順天堂大、多職種によるサルコペニア実態調査

2024年8月27日

サルコペニア患者では食品摂取の多様性が低下

順天堂大学の浅岡大介教授、菅野康二准教授、松野圭准教授 、宮内克己特任教授らのグループは、高齢者専門大学病院における多職種による高齢者のサルコペニアの実態調査を本邦で初めて実施し、健康長寿に影響を及ぼすサルコペニアに対し、食品摂取多様性の重要性が示唆されました。本研究は『Biomedical Reports』誌のオンライン版に2024年6月25日付で公開されました。

サルコペニアは加齢や疾患により筋肉量が減少して筋力や身体機能が低下している状態のこと。本研究におけるサルコペニアの有病率は 21.4%(223例/1042例)と一般の地域住民を対象とした過去の研究の有病率(約14%)より高く、高齢者サルコペニア患者では食品摂取の多様性が低下していることを確認しました。

本研究成果のポイント

・高齢者専門大学病院における多職種によるサルコペニア実態調査の大規模前向きコホート研究(JUSTICE研究)の登録時データを用いた横断研究では、サルコペニア(AWGS 2019基準)の有病率は21.4%であり、一般の地域住民を対象とした過去の研究の有病率(約14%)より高かった。
・高齢者サルコペニア患者では食品摂取の多様性が低下していた。
・サルコペニア患者では、非サルコペニア患者と比べて、高齢・男性・Brinkman Index・位相角高値・デイケア利用(+)・糖尿病(+)・骨粗鬆症(+)症例と関連し、BMI・QOL・認知機能(MMSE)は低値だった。

背景

サルコペニアは加齢による筋肉量の減少および筋力の低下のことを指しますが、サルコペニアによる筋肉量低下は寝たきり・要介護や死亡等の生命予後と密接に関連しており、人生100年時代・超高齢社会のわが国において健康長寿を妨げる一因でもあり、サルコペニア予防は喫緊の課題となっています。

本邦におけるサルコペニアの疫学では、一般の地域住民を対象とした過去の研究で、約14%前後(7~22%)と報告されていますが、高齢者専門大学病院における高齢者のサルコペニアの実態は不明であり、多職種によるサルコペニアに関する多岐にわたる実態調査は少ないものでした。

同センターでは長寿いきいきサポート外来を開設し、各内科疾患のみならず、フレイル・サルコペニア・認知症・骨粗鬆症診療も合わせて行い、高齢者をトータルマネージメントすることにより健康長寿を目指しています。

今回、アジアにおけるサルコペニア診断基準としては2019年に改訂版となり最新の診断基準であるAWGS 2019を用いて、高齢者専門大学病院における多職種によるサルコペニアの有病率ならびにサルコペニアのリスク因子を横断研究で検討することを目的としました。

詳しくは下記外部リンクよりご覧ください。

(画像はイメージです)

▼外部リンク
高齢者専門大学病院における多職種によるサルコペニア実態調査では サルコペニア有病率は21.4%で、一般地域住民の有病率より高率であった。 サルコペニア患者では食品摂取の多様性が低下していることを確認


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