アルツハイマー病の発症前の脳の異常を検出する方法を開発
MIGの脳健康VR測定、国際学術誌に論文掲載
MIG株式会社(東京都渋谷区) の「VRゴーグルを用いた脳健康測定」に関する研究が国際学術誌誌「Brain. Communication」(2月12日)のオンライン版に掲載されました。同社の共同創業者であり取締役チーフサイエンスオフィサーの高島明彦(学習院大学大学院自然科学研究科 教授)をはじめとする研究チームによる研究成果です。
学習院⼤学⼤学院⾃然科学研究科の⼤学院⽣・⼩池⼒、添⽥義⾏助教、髙島明彦教授、藤⽥医科⼤学脳神経内科学の渡辺宏久教授、滋賀医科⼤学の⽯垣診祐教授、藤岡祐介助教、東京⼤学の内⽥和幸教授、チェンバーズ ジェームズ助教、⼤学院⽣・⾼市雄太さんからなる研究チームが、アルツハイマー病の発症前にVRゴーグルを⽤いて脳の異常を検出する新たな⽅法の開発に成功したものです。
アルツハイマー病は早期に発⾒すれば、予防や治療の効果が⾼まる可能性があります。しかし現在の診断法では、症状が現れる前にアルツハイマー病を検出することは困難です。今回、研究チームはVRゴーグルを⽤いて、脳の空間認知機能である経路統合能(※1)を測定する⽅法を開発しました。本研究では、VRゴーグルを⽤いたナビゲーション機能を測定することでアルツハイマー病に⾄る最初の病変である嗅内野(※2)の神経原線維変化(※3)を検出することに成功しました。
(※1)経路統合能:経路統合能とは、⾃分の移動した距離や⽅向を記憶し、出発地点や⽬的地点へ戻る能⼒のことです。この能⼒は、脳の側頭葉内側にある「嗅内野」という部位が担っています。
(※2)嗅内野:脳の側頭葉内側にあり、視覚、聴覚、体性感覚を受容し、それらの情報を統合し海⾺や⼤脳⽪質へ送っています。嗅内野にはグリッド細胞と呼ばれる空間ナビゲーションに関係する細胞が存在しています。加齢すると嗅内野にアルツハイマー病の病理学的特徴の⼀つである神経原線維変化が最初に形成される場所です。この後、神経原線維変化が⼤脳辺縁系、⼤脳新⽪質へ広がると認知症を引き起こします。
(※3)神経原線維変化:アルツハイマー病の病理変化の⼀つで神経細胞内にリン酸化タウが凝集した状態です。細胞内でこのような変化が起こるとその領域では数倍の神経細胞死が起こっています。そのため、神経原線維変化が脳内で広がることによって認知症を引き起こします。
この⽅法により安価で⾮侵襲的、簡便に脳の状態を知ることができ、ヒトにおけるアルツハイマー病の予防や治療に役⽴てることが期待されます。
詳しくは下記外部リンクよりご覧ください。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
「アルツハイマー病の発症前の脳の異常を検出する方法を開発」国際学術誌に論文が掲載、MIGの脳健康VR測定
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