山田養蜂場、プロポリス含有食品の臨床研究成果を発表
「認知症予防に対するプロポリスの有用性と社会実装」
株式会社山田養蜂場(岡山県苫田郡)の自社研究所である、 山田養蜂場健康科学研究所は11月18日(土)~20日(月)に、つくば国際会議場(茨城県つくば市)で開催された 「ミツバチサミット2023」のシンポジウムにて、プロポリス含有食品の認知機能に関する臨床試験の成果を発表しました。
シンポジウムでは、抗アルツハイマー病作用をもつ新規化合物の開発に携わられている東北大学 未来科学技術共同研究センター 山國徹 特任教授がオーガナイザーを務められ「認知症予防に対するプロポリスの有用性と社会実装」と題して、山田養蜂場健康科学研究所の 奥村暢章副所長(生物資源科学博士)が講演しました。講演の概要は次の通りです。
講演概要
脳の働きが低下することにより引き起こされる認知症は、近い将来65歳以上の3人に1人は発症することが予想されており、その治療や予防方法の研究が進められています。認知症の予防には、食生活の改善、運動習慣、睡眠、知人や家族などのコミュニティ内での交流や勉強・読書といった知的活動などが重要です。特に、食生活の改善において、ミツバチ産品のもつ働きが有効ではないかと考えられています。
プロポリスは、ミツバチが植物の新芽や樹脂から作り出す粘着性のある素材で、巣箱の衛生状態を保つために使われます。ヒトに対しても有用な作用が多数報告されており、中でも、ブラジル産グリーンプロポリスは、認知機能低下の要因である酸化ストレスや炎症の抑制作用を持つことが知られています。さらに、脳にある神経細胞のネットワークを活性化する神経突起の伸長作用、アミロイドβの集積抑制作用が確認されており、認知機能にも有効である可能性が示されています(図1)。
これらの研究成果をもとに、ヒトにおいて認知機能が維持されるか調査し、次の結果を得ました。
プロポリスの継続飲用により、全身の炎症と認知機能の低下が抑制された。(J Alzheimers Dis.2018)
認知機能の低下が気になる日本人高齢者がプロポリスを継続的に飲用することにより、短期記憶や処理速度スコアの改善が見られた。(Evid Based Complement Alternat Med. 2021)
また、これらのプロポリス研究の成果に基づき、社会実装を目指した取り組みも始めています。その一つとして、プロポリスをはじめ、認知機能に対しての働きが報告されている6種類の素材を組み合わせ、複数ある認知機能低下の要因にアプローチする処方を開発いたしました。この処方は、物忘れを自覚する健常な日本人の高齢者に対して、「記憶力」「注意力」「集中力」「判断力」の維持に役立つ機能を持つことがわかりました(Jpn Pharmacol Ther. 2020;48(10):1805-1819.)。
現在、この処方は米国にて実践されている認知機能改善プログラム「リコード法※1」に活用されています。認知機能低下を予防するには、食事や睡眠などの生活習慣改善や運動、認知トレーニングなど複合的アプローチが有効とされています。本研究から、このプロポリス含有食品もそのための手段の1つとなることが期待されます。
※1 米国のデールブレデセン博士が提唱する、認知機能の低下を招く要因に対してアプローチするオーダーメイド型認知症改善プログラム
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
「ミツバチサミット2023」で、プロポリス含有食品の臨床研究成果を発表
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