ビフィズス菌BB536が高齢者の様々な腹部症状を改善
順天堂大の研究グループが研究成果を発表
順天堂大学のグループは、高齢者慢性便秘症患者に対してビフィズス菌(BB536)摂取介入のプラセボ対照二重盲検試験を本邦で初めて実施し、便秘症状の改善、ならびに上腹部症状の改善を確認しました。試験結果を踏まえ、本ビフィズス菌の摂取により様々な腹部症状を有する高齢者の健康維持が期待されます。研究成果は『The American Journal of GASTROENTEROLOGY』誌のオンライン版(10月11日付)にて公開されました。
研究成果のポイントは次の通りです。
◆高齢者慢性便秘症患者に対しビフィズス菌BB536摂取介入のランダム化二重盲検並行群間比較試験を本邦で初めて実施し、ビフィズス菌BB536摂取の有用性・安全性が示された。
◆プラセボ摂取群と比較して、ビフィズス菌BB536摂取群では「排便回数」の有意な改善、「排便未完遂回数」や「便秘症状重症度(CSS)スコア」の改善傾向を認めた。
◆ビフィズス菌BB536摂取群では「胸やけ」や「嚥下時つかえ」が、後観察期間でも「胃もたれ」「喉違和感」「嚥下時つかえ」「FSSGスコア」において有意な上腹部症状の改善を認めた。
今後の展開
慢性便秘症は高齢者で多くみられる疾患ですが、高齢者では便中のビフィズス菌の比率が著しく減少することも知られています。今回、ビフィズス菌BB536摂取によって高齢者の慢性便秘症患者の便秘症状の改善、さらに上腹部症状も改善されることがプラセボ対照二重盲検試験により本邦で初めて確認されました。
胸やけや心窩部痛、腹痛、下痢、便秘といった消化管症状が慢性的に存在し、その原因となる器質的異常が認められないものを機能性消化管障害と呼びますが、そのなかに、胃痛や胃もたれを呈する機能性ディスペプシア(FD)、機能性胸やけ(FH)、便秘や下痢を呈する過敏性腸症候群(IBS)等があります。
これらの症状は腸内細菌叢の異常、粘膜免疫機構、内臓知覚過敏、中枢神経系調節異常など多くの因子が複雑に関連して発生するため様々なFGIDsのなかで、症状のオーバーラップや移行、消褪が認められることがあります。本研究結果は、様々な腹部症状を有する高齢者に対して、ビフィズス菌の摂取が、便秘症状のみならず、上腹部症状も改善することを示唆しており、高齢者の健康維持に役立てられることが期待されます。
順天堂大学は2021年1月に、ジェロントロジー研究センターを設立し、健康寿命延伸の対策拠点として稼働させています。近年、腸内細菌を含めた腸と全身が機能連関することが注目されていますが、ジェロントロジー研究センターと腸内フローラ研究講座は互いに連携して、腸と全身の機能連関を精力的に研究していくとしています。
詳しくは下記外部リンクよりご覧ください。
(画像はイメージです)
▼外部リンク
ビフィズス菌BB536(Bifidobacterium longum BB536)摂取により、高齢者慢性便秘症患者の便秘症状や上腹部症状が改善することを確認
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