春ウコンに神経変性疾患の発生に関与する成分を発見
アストロサイトへの分化誘導を強く促進する「coronarin D」
早稲田大学理工学術院の大塚悟史招聘研究員、中尾洋一教授らの研究グループは、神経幹細胞からアストロサイトへの分化誘導を強く促進する春ウコンの活性成分として、coronarin Dを見出しました。認知症やパーキンソン病をはじめとした神経変性疾患に対する予防サプリメントへの機能応用が期待されます。
春ウコン(Curcuma aromatica)は、2000年以上前からアジアを中心に生薬として広く親しまれてきた食材であり、抗炎症作用や、抗酸化作用、神経保護作用など様々な生物活性を有することが報告されています。
これまで春ウコンの有効成分について機能解析が進められてきましたが、その多くはウコン由来の主要な有効成分として有名なクルクミンが中心であり、その他の有効成分の探索および機能解析は限られていました。
認知症やパーキンソン病予防サプリへの機能応用に期待
一方、成人脳内の一部の領域に存在する神経幹細胞は、必要に応じてニューロンやグリア細胞などの神経系細胞に分化することで中枢神経系機能のバランスを保っています。近年、グリア細胞の一種であるアストロサイトがアルツハイマー病の原因タンパク質の一つアミロイドβの分解に関わっていることが報告されています。
また、アストロサイトの機能異常やアストロサイト数の減少がアルツハイマー病やうつ症状などの神経変性疾患の発症に関与することも明らかになりつつあります。このような背景から、機能異常に陥ったアストロサイトの機能回復を標的とした神経変性疾患治療薬の開発が進められています。しかし、現時点では「正常なアストロサイトそのものの数を増加させる」といった予防医学的観点に立った医薬品の開発研究例は限られています。
そこで本研究グループは、未だ研究の余地が残されている「アストロサイトへの分化誘導を促すことで正常なアストロサイト数を増やす」という予防医学的な目標を設定して研究にあたり、未知の生物活性成分が豊富に含まれていると考えられる春ウコンから、アストロサイトへの分化誘導促進活性成分を探索し、coronarin Dを見出したものです。
詳しくは下記外部リンクよりご覧下さい。
(画像はイメージです)
▼外部リンク
春ウコンに含まれる3つの生物活性成分を同定
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