花王と弘前大、内臓脂肪と認知機能の関係を明らかに

2021年12月1日

「弘前市いきいき健診」の健康ビッグデータを活用

花王株式会社(東京都中央区)ヘルス&ウェルネス研究所と、弘前大学大学院医学研究科は、弘前大学COIが実施する「弘前市いきいき健診」で得られた健康ビッグデータを活用して、内臓脂肪と認知機能および脳の構造の関係性について検討し、65歳以上で内臓脂肪が多い人は、認知機能が有意に低下し、脳の構造異常も発生していることを発見しました。

2016~2017年に実施された「弘前市いきいき健診」に参加した65~80歳の方のうち、認知症と診断された方などを除く2,364名を対象に行われました。対象者は内臓脂肪が多いグループ(N=1,143)と少ないグループ(N=1,221)に分けられ、認知機能は、認知症スクリーニング検査「MMSE」を用いて評価し、脳の構造は、核磁気共鳴画像法(MRI)を用いて、脳萎縮、白質病変、側脳室周囲病変、血管周囲腔拡大、脳出血について調べました。

分析にあたっては、これらの評価結果をグループ間で比較する際には、これまでに認知症に関係すると報告されている因子(高血圧、糖尿病、うつ、喫煙、飲酒など)の影響がないように調整が行なわれました。

内臓脂肪を減らせば、認知症リスクも減らせる

分析の結果、内臓脂肪が多いグループは、少ないグループと比較して、MMSEのスコアが低く、認知機能が有意に低下していました。内臓脂肪は、これらの因子とは独立して、認知機能と有意に関係することがわかりました。

認知症の患者は、白質病変などの脳の構造異常を生じていることが報告されていることから、内臓脂肪と脳の構造異常との関係性も検討されました。その結果、内臓脂肪が多いグループは、少ないグループと比較して、白質病変および血管周囲腔拡大が有意に発症していることがわかりました。

研究の結果、65歳以上で内臓脂肪が多い人は、認知機能が低下しており、脳の構造異常も発生していることがわかりました。つまり、内臓脂肪を減らすことは、これまで言われているような高血圧などの循環器疾患リスクを減らすだけでなく、認知症リスクを減らすことにも寄与する可能性があると考えられます。

本研究成果は、神経科学に関する国際学術誌「Brain Sciences」に巻頭論文として掲載されました。詳しくは下記外部リンクよりご覧下さい。

(文頭画像はイメージ、文中画像はプレスリリースより)

▼外部リンク
65歳以上の人において、内臓脂肪と認知機能が関係していることを発見


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